これまで人力中心だったBPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)が、今急速に進化している。デジタル技術を駆使して自動化・省力化を図る「デジタルを活用したBPO」によって、よりハイレベルな業務効率化や生産性向上が可能になってきたのだ。最近では、コスト削減はもちろん、「コア業務への集中」や「優秀な人材の確保」を目指す攻めの活用も増えている。今後、デジタルを活用したBPOが企業の命運を左右するキーワードとなりそうだ。

守りと攻めのBPO活用で
企業の競争力を高める

アイ・ティ・アール(ITR)
浅利浩一 プリンシパル・アナリスト

​ 働き方改革の推進や慢性的な人材不足などを背景に、どの企業も業務効率化、生産性向上という大きな課題を抱えている。その対策の切り札ともいえるのが「デジタルを活用したBPO」だ。

​ デジタルを活用したBPOとは、ヒトとデジタル技術を融合して業務プロセスを最適化し、業務のスピードアップや効率化によって生産性の向上を図るアウトソーシングのこと。RPA(ソフトウエアロボット)やAI(人工知能)の高度化に伴い、自動化・省力化できる業務領域も広がっている。

​ 今、このデジタルを活用したBPOに関心が集まっているが、それは自然の流れといえるだろう。デジタル化によって新たな付加価値を生み出すべく既存のビジネスや組織を変革するデジタルトランスフォーメーションが企業に求められているからだ。

​ 独立系のITコンサルティング・調査会社であるアイ・ティ・アール(ITR)の浅利浩一プリンシパル・アナリストはBPOのデジタル化を促す、もう一つの背景として、人件費の安価な海外企業や海外子会社に自社の業務を委託・移管するオフショアの単価高騰や先進国での保護主義の台頭を挙げる。

​ もうこれまでのようなオフショアアウトソーシングは望めなくなるかもしれない。そうなった場合、オフショア業務を日本国内に回帰させるには、労働力人口の減少や働き方改革にも対応していくことが求められる。そこで威力を発揮するのが、次世代のデジタルを活用したBPOというわけだ。