スーツを着ると、おのずと背筋は伸び、身は引き締まる。ビジネスのドレスコードたるゆえんである。その腕元にふさわしい時計としてお薦めするのが、フレデリック・コンスタントだ。角形と丸形の異なる個性にも"アクセシブル ラグジュアリー"というブランドの精神が息づく。
文=柴田 充 写真=奥山栄一

クラシック カレ オートマチック ハートビート
カレンダーを省いた、程よいケースサイズに、日本での圧倒的な人気に応えた限定カラー(ネイビー、ブラック文字盤)が登場した。シンボルのハートビートを備え、ムーブメントのテンプの動きが楽しめる。ステンレススチール、ケース縦33.3㎜×横30.4㎜、自動巻き。各17万9280円(税込み)

 スーツと相性の良い時計とは何か。その条件には、まず存在をひけらかすことのない、控えめなサイズとデザインがあるだろう。とはいえ没個性になるのではなく、自身を印象付けるものでもあってほしい。スーツがそうであるように、ベーシックなスタイルに、いかに時代の感性や個性を表現するか。その最良にして最善の選択となるのが、フレデリック・コンスタントだ。

 1988年に創業し、30年という歴史は、時計ブランドでは決して古くはない。だが94年、文字盤に小窓を設け、ムーブメントの心臓部をあらわにした画期的なハートビートを発明し、2004年には、企画から開発、生産を自社一貫製造するマニュファクチュール体制を導入するなど、その躍進は目を見張る。それは新進ならではの、既成概念にとらわれないチャレンジの系譜でもある。

 代表作の「クラシック カレ オートマチック ハートビート」は、ドレッシーな角形ケースに、ハートビートを採用し、さりげなく機械式の趣味性をアピールする。クラシックな印象の強い角形に、現代的な個性を与え、ブランドのナンバーワン人気を誇る。