遠山周平

第10回 May.7.2012 遠山周平 

強く優しくを理想の男性像とする、
エシカルドレッシングの薦め

著者・コラム紹介
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 TVに出るニュースキャスターがこれをよく用いたことからの名称だという。1960年代初頭のモノクロ放映時代は、機材の性能が悪くダークスーツの画像がのっぺりと見えてしまった。これを防ぐために胸にポケットチーフをさして衣装に立体感を出し、同時に白のポケットチーフがスタジオのライトを反射することで顔の映りを良くする。白のTVフォールドは、清潔感と潔さを狙った演出ともいえよう。

 花柄のポケットチーフなどを丸めて胸へ飾る方法もあるし、ゴテゴテ飾りがついたクールビズシャツも市場に多く出まわっている。が、やり過ぎは禁物。クールビズはまだ始まったばかりでドレスコードが確定していない。こういうときはメーカーの商戦にあまり踊らされることなく、少し地味くらいにこなしたほうが、逆に体面を保てるものである。

 胸ポケットの内部は、スレキと呼ばれる綿混紡の丈夫な布で長方形の袋状に作られている。この袋の大きさは昔から決まっている。しかし我々が通常手拭きなどに使う大判の白いハンカチーフを畳んでこの袋に入れようとすると分厚くなって具合が悪い。

 TVフォールドに適するサイズは一辺が約30センチの、小ぶりな正方形だ。これを4つ折りして15×15センチの正方形にする。次に一辺の端を6センチほど折り曲げると縦15×横9センチの長方形サイズになる。これをアイロンで仕上げれば、胸ポケットに馴染むTVフォールドが完成する。

 問題は、高価なシルクの大判チーフは豊富に在庫してあるのに、小ぶりの白いポケットチーフを用意している店が少ないこと。百貨店やセレクトショップなどよりは、街に昔からある洋品店へ行ってみよう。案外、初老の上品な店主が出てきて、棚の奥から布の端を丁寧に処理した白麻や綿ボイルのポケットチーフを取り出し、昔のままの値段で売ってくれるかもしれない。

 そんな店と長く付き合うきっかけができるのも、エシカルドレッシングの密かな愉しみの一つだ。

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遠山周平 [服飾評論家]

1951年、東京生まれ。雑誌編集者、新聞記者を経て服飾評論家に。豊富な経験と知識を元に、“自ら買って、試して、書く”を信条とする。著書に『洒脱自在 おとなとしてシックに服とつきあう本』(中央公論新社)など。趣味の裁縫技術を生かし、捨てないお洒落生活を実践中。

 


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