【バロンズ】トランプ氏のFRB批判、一部で支持される理由

2018年10月30日公開(2018年10月30日更新)
Randall W. Forsyth

• インフレ率は低位にとどまる

 ECRIのフューチャー・インフレーション・ゲージは、7月に物価上昇圧力の低下を示している。アチュサン氏は電子メールで、「この低下は予想ではなく事実で、9月の総合消費者物価指数(CPI)上昇率は7カ月ぶりの低水準、コアCPI上昇率は5カ月ぶりの低水準に達している」と書いている。

 調査会社であるHCWEの社長兼取締役であるデービッド・ランソン氏は、「インフレ率が低く加速していなければ、FRBが利上げする理由はない」と同意する。同氏は、市場の各種指標に基づいて予想しているが、今頼っているのは金だ。金の価格は、過去2カ月でようやく小幅の上昇に転じたが、約1年間にわたって横ばいとなっている。

 ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、FRBが利上げを一休みすべきと主張する。同総裁は、インフレ率がFRBの目標である2%を下回っていたのだから、2%超の状態も容認すべきと主張する。言い換えれば、インフレ率が上昇を始めるまでに失業率がどこまで低下できるかを、FRBに試させることになる。FRBは2015年に、インフレ率が上昇に転じる失業率を5.1%と推計していたが、現在の推計は4.5%である。だが実際の失業率は3.7%まで低下している一方で、インフレ率は低水準にとどまったままとなっている。

 ランソン氏は、12月にFRBが利上げしたとしても、市場に大きな影響はないと考えている。同氏は、引き続き緩和的な社債市場を引き合いに出す。投資適格と投資不適格の社債のスプレッドは引き続き狭く、投資家がまだ、社債を保有する追加リスクを相殺するための利回りのプレミアムを要求していないことを示唆している。

 対照的に、ゴールドマン・サックスがフォローしている金融情勢を示す市場の他の指標は、金融が大幅に引き締まっていることを示している。同社のファイナンシャル・コンディション・インデックスは、過去1カ月で50bpの利上げ相当の金融引き締めを示しており、その3分の2は株式市場の下落によるものだ。

 トランプ大統領に一理あるとしても、FRBに対する苦情は逆効果になる可能性がある。パウエル議長はFRBの独立性を維持するために、大統領の圧力に屈することができない。そのため、12月は25bpの利上げの確率の方が高くなっている。

 2019年については、複数回の利上げ確率が低下傾向にあり、先物市場は2.5%から2.75%への一度の利上げしか予想していない。FRBは密かにバランスシート縮小も進めており、過去1年間で2710億ドルを縮小しており、現在は月間500億ドルのペースで縮小している。市場関係者は、FRBが勝利を宣言して金融引き締めをやめるタイミングを知っていることを望んでいる。

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10月の不振は歴史通り

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