「テクノロジーナショナリズム」は
サイバー攻撃者を利するだけ。
透明性向上による信頼関係の再構築を

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「国家間の対立が深まり、協力関係が失われれば、国境を越えて暗躍するサイバー犯罪者を利することになる」。そう警鐘を鳴らすのは、世界中の政府や民間企業に高度なセキュリティソリューションを提供するKaspersky Lab(以下、カスペルスキー)パブリックアフェアーズ担当バイスプレジデントのアントン・シンガリョーフ氏だ。同社は、各国の政府機関や企業がセキュリティソリューション企業に対して抱く疑念を払しょくするため、ユーザーから収集した脅威に関するデータを処理する施設をスイスに移転し、加えて製品のソースコードを規制当局に公開するなど、透明性向上への取り組みを開始した。その経緯と、取り組みの進捗状況について聞いた。

地政学的問題によって
サイバー攻撃に対する国際協力が退行

アントン・シンガリョーフ
Kaspersky Lab
パブリックアフェアーズ担当
バイス プレジデント

「サイバー攻撃者たちは、国境を越えて協力し合い、知識や技術を共有することで、新たな戦術や手法を生み出しながら、ますます高度なサイバー攻撃を拡大させています。いまやサイバー犯罪ビジネスの国際的なエコシステムが確立され、"グローバルな巨大産業"と化しているのです」とシンガリョーフ氏は指摘する。

 グローバルに展開される高度なサイバー犯罪を封じ込めるためには、各国の関係機関が連携して対策を打つことが不可欠だ。しかし、実際の世界の動きを見ると、サイバー空間の軍事利用の広がり、保護主義の台頭、地政学的問題に起因する国際協力の退行が急速に進行しており、国際的なサイバー犯罪に対抗するための重要な基盤が崩壊しつつあるという。

「具体的な例を挙げましょう。近年、ロシアのサイバー犯罪集団が米国の金融機関を標的として攻撃するケースが増えています。米国の捜査当局は、犯罪者が国外にいるので摘発が困難ですし、ロシア当局も、自国の金融機関から被害届を受理しているわけではないので積極的には動きません。ご存じのように現在、米ロの関係はあまり良好とは言えず、互いに協力して犯罪集団を摘発するという動きが取りにくくなっているのです」

 もうひとつ、地政学的問題によってサイバー攻撃者に利する状況を生み出している例としてシンガリョーフ氏が挙げるのが、ロシアとウクライナの関係だ。

「ロシアの攻撃者はウクライナに、ウクライナの攻撃者はロシアに対して、頻繁に攻撃を仕掛けていることが観測されています。しかも、旧ソ連邦であるウクライナではロシア語が通じるので、それぞれの国の攻撃者が互いに協力し、戦術や手法を高め合っているのです。ロシアとウクライナの公安当局の協力関係もゼロに等しいので、国境を越えた攻撃者たちの協力を防ぐことができません。こうしたサイバー犯罪者たちを利する状況は、各国が保護主義やナショナリズムに走るほど深刻になっていくことでしょう」とシンガリョーフ氏は警鐘を鳴らす。

問い合わせ先

株式会社カスペルスキー
〒101-0021
東京都千代田区外神田3-12-8
住友不動産秋葉原ビル7F
https://www.kaspersky.co.jp/
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