時間の浪費や消費を、投資に変える

通勤時間で自分を磨く 同じ時間でも、その使い方によって「浪費・消費・投資」に大きく分かれる。将来のキャリアプランを見据えて、「通勤」という時間を自己啓発や勉強にあてる「投資」ができるかがカギ。

 通勤時間の戦略的マネジメントはどうあるべきなのか?

「時間のスキマをつぶすような感覚で、漫然と新聞を読んだり、メールチェックするなどは、単なる時間の消費にすぎません。時間の戦略的投資とは、自分の将来像をにらんだ時間の使い方です。つまり、自分が本当にやりたい仕事で報酬アップにつながる資格取得や語学学習、あるいは専門領域の知識を深めるための情報収集など、自分への投資に使ってこそ“活きた時間の使い方”になるのです」

 いわば、「通勤学習」である。使える時間が一定のため、区切りをつけた時間の使い方ができる。安部氏の場合は、ビジネス書の読書量を計画的に決めたり、ワンセグで録画したニュースやビジネス情報番組などを見る時間に当てているという。

「テレビ番組は、2倍速で再生して見ています。リアルタイムで見るよりも半分の時間ですむので、その分より多くの情報をインプットできる。情報社会では、効率良くかつ大量に情報を得ることが第一。その上で情報のスクリーニングによって、的確な情報を絞り込んでいけばいいのです」

 情報のスクリーニングには、最近利用者も増えているスマートフォンが役に立つ。気になった情報は、その場でネットで検索すれば、より質の高い情報としてインプットすることができるからだ。

始発を利用して通勤をゴールデンタイムに

通勤にかかる時間は 1時間半以内が約8割
首都圏に住むビジネスパーソンの約8割は通勤時間1時間半未満(片道)。最大往復3時間をいう通勤時間の活用は重要だ。 出典:「社会生活基本調査」(総務省統計局、平成18年調査)。

 さらに、通勤時間をゴールデンタイムに変える究極の方法として、「朝4時起きして始発に乗ること」を安部氏は提唱する。

「ラッシュにもまれての通勤は、新聞はもちろん雑誌や本すら開くことができませんし、無駄に体力も消耗してしまう。始発なら誰にじゃまされることもなく、計画通りに学習に当てることができるのです」

 そのためには、まず生活習慣の改善。テレビやインターネットで無為に時間を浪費するクセを改め、質の高い睡眠をとることを心がける。

 通勤以外の生活時間の改善が、通勤時間の“黄金化計画”に欠かせないというわけだ。