何の戦略も事前準備もないままにAI(人工知能)の活用に踏み出せば、まず間違いなく失敗する。AIを使ったデータ分析の効果をビジネスに生かしたいと考えるなら、まずは自社の現状を把握しておく必要がある。そのためのチェックリストを作成したので、ぜひ活用していただきたい。

AI活用はビジネス上の課題ありき

 約20年にわたって企業向けデータサイエンス・コンサルティング業務に従事し、多数のAI活用プロジェクトを支援してきたテクノスデータサイエンス・エンジニアリング常務執行役員の池田拓史氏。われわれは同氏による解説に基づき、AI活用に失敗しないための10項目のチェックリストを作成した。

 例えば、「すぐにでもAI活用を始めたいか」。この問いに対する答えが「Yes」なら、まずは、「解決すべきビジネス上の課題は明確か」を自らに問い掛けてみてほしい。

 AIは“魔法の杖”ではなく、単なる道具にすぎない。AIを「何に」「どう使うのか」といった知恵は、言うまでもなく人が考え出す必要がある。その起点となるのが、ビジネス上の課題だ。

 解決すべきビジネス上の課題が明確になっていないと、AI活用プロジェクトは前に進まない。
つまり、大事なのは戦略的視点である。

 AI活用戦略は2つに大別できる。1つは、AIを組み込んだサービスやプロダクトを市場に投入し、新たな価値を創出すること。もう1つは、既存の業務にAIを活用して現場力の強化を図ることだ。


 この2つの視点から問い掛けるだけでも、ビジネスの課題とAI活用の方向性は、かなりはっきりと見えてくるはずだ。