ブランド品セレクトショップの展開で市場をリードするセキドと、国内家電ネット通販大手のストリームが、戦略的な資本業務提携を行う。狙うのは、相互補完体制の構築による売り上げ増大と利益体質の強化。また中国をはじめとするアジア地域への進出ももくろむ。
日本全国に22店舗のブランド品セレクトショップを小売り展開するセキドは、東京・銀座2丁目に旗艦店「GINZA Love Love」を持ち、年商218億円(2011年2月期)を誇る。新品のファッションブランド並行輸入品販売専業としては唯一の上場企業で、クラスター分析を背景にした丁寧かつ満足度の高い顧客対応が特徴である。
ストリームは家電ネット販売の「ECカレント」をはじめ、「e-BEST」「特価COM」などのネット通販サイトを運営する、国内家電ネット通販の最大手。会員数は600万人に上り、年商は388億円。09年度の顧客満足度指数調査(サービス産業生産性協議会)では、東京ディズニーリゾートに次いで第2位を獲得している。
両者が業務的な相互補完体制の構築を目指し、戦略的な資本業務提携に合意したのは12年の1月27日。その理由をセキドの関戸正実社長は、「当社では店舗をベースに小売り展開をしているが、常に30億~40億円のブランドファッションの在庫を抱えている。自社のECサイトで販売するのは限界があり、提携できる優良なECサイトを探していた。ストリームは優れたECサイトの運営システムと先進的な物流システムを持っており、提携することで初期投資をかけず、新たな顧客を開拓することができると考えた」と説明する。
ECサイトを共同運営、
顧客満足度を追求
一方のストリームの劉海涛社長は、セキドとの提携メリットをこう語る。「これまで家電を中心にECサイトを運営しノウハウを蓄積してきたが、そのノウハウを使って他のジャンルに進出したいと考えていた。セキドはブランドファッションの仕入れや販売のノウハウを持ち、首都圏の店舗展開だけで100億円以上の売り上げがある。当社のECサイトを利用すれば、地域を限定せず市場は全国に広がる。当社としても、家電製品以外の商品の売り上げ拡大と、さらなる女性顧客(現在は約3\割)の拡大が見込まれる」。
具体的には、両社はセキドのファッションブランド商品のECサイトを共同運営し、セキドはストリームに対してファッションブランド商品の卸販売を拡充する。さらにセキドはファッションブランド商品に関するマーチャンダイジングをストリームに提供し、物流センターをストリームの物流センターに統合することで、コストの大幅削減を図る。
両社に共通しているのは、常に顧客満足度を追求していること。「ネット通販においては価格と納期が最も重要。当社ではリードタイムを重視し、夕方までの注文は当日出荷を行っている。ファッションブランド商品も出荷が3~4日後になる“取り寄せ”ではなく、当日出荷することで、他社との大きな差別化が図られるはず」(ストリーム・劉社長)。