エチオピアを観光するなら「公認ガイド制度」を活用して
ぜんぶ任せておくと快適な旅行ができる!
【橘玲の世界投資見聞録】

2019年5月23日公開(2019年6月20日更新)
橘玲

世界遺産観光は飛行機移動が最適

 エチオピアには8カ所の世界遺産があり、北部にあるラリベラ、アクスム、ゴンダールがキリスト教(エチオピア正教)の遺構を伝えてよく知られている。

 地形を見ればわかるように、エチオピアの都市間をバスで移動するのはものすごく大変だが、エチオピア航空が近距離の国内便を運航しているので、この3つの世界遺産を効率よく回ることも可能だ。今回はアクスムをあきらめ、アディスアベバ→ラリベラ→ゴンダールを空路で移動し、ゴンダールから南のタナ湖湖畔にあるバハルダールまでは車を使い、そこからアディスアベバに戻る2泊3日の旅程にした(かなりハードだったので、もうすこし余裕をもったほうがいい)。

 エチオピアは観光業が貴重な外貨収入源になっており、観光地にはどこも「政府公認ガイド」がいる。大学には観光学科があり、そこを卒業するとライセンスが取得できるようだ。これはかなりシステマティックにできていて、いったんガイドを雇うとあとはなにもすることはないが、逆にいうとガイドなしで観光するのはほぼ不可能だ。

 料金はエチピアの通貨ブル(1ブル≒3.8円)か米ドルで支払うことができる。ブルと米ドルの換算はけっこういい加減で、ブルで払った方が安く上がることが多い。

 きわめて興味深いエチオピアの歴史や宗教についてはあらためて紹介するとして、以下、外国人がエチオピアを旅行するとどのようなことになるかざっと説明しよう。

ラリベラでは空港からホテル、観光案内までほとんどがパッケージ

 岩窟教会のあるラリベラはエチオピアでもっとも人気のある観光地のひとつだが、空港に降りてもタクシー乗り場はない。その代わり、あなたの名前をボードに書いたホテルからの送迎が待っているはずだ。

 これは私もはじめての体験なのだが、Expediaでよさそうなホテルを予約しただけで、送迎を頼んだわけでもなければ便名すら伝えていないのに、なぜか満面の笑顔の男性が待ちかまえている。アディスアベバからラリベラへの直行便が1日1便なので、それに合わせてやってくるようだ(エチオピア航空のサイトで検索すると、経由便を使えばアディスアベバからラリベラへはあと2便あるが、その場合はどうなるかわからない)。

 空港からラリベラの街まではかなり遠く、旅行ガイドブックでは30分となっているが、途中は舗装されていない悪路もあり運転はかなり大変だ。それにもかかわらずなぜわざわざやってくるかというと、彼はツアーコーディネーターで、ホテルに着くまでの間にラリベラ滞在中の旅程を決めるのだ。

 私は翌日の午後にゴンダールに移動することにしていたが、これは1泊コースの定番で、「じゃあ今日の午後と明日の午前中に教会を訪れて、それから空港まで送っていくから、パッケージでいくら」みたいな話になって、悪路でがたがた揺れる車内で声を張り上げて交渉する気にはぜんぜんならないので、よくわからないままに「じゃあそれで」と話はまとまった。

 ホテルに到着するとコーディネーターにお金を払い、「30分後にガイドがロビーに迎えに来るからね」といって彼は去って行った。考えてみれば領収書も受け取っておらず、連絡先もわからず、大丈夫かと思いながらロビーで待っていると、レセプションの女の子が「ガイドはちょっと遅れていて、あと5分で来るから」と教えてくれた。

 コーディネーターはホテルから宿泊者名簿を提供されており(だから送迎に来ることができる)、トラブルはホテルの責任になるから、Tripadviserなどで高い評価を得ているホテルを選べば問題はなさそうだ。

世界遺産ラリベラの岩窟教会       (Photo:@Alt Invest Com)

 

 ラリベラのホテルから岩窟教会群までは徒歩で20分くらいだが、世界遺産にもかかわらず観光客向けの案内はほとんど出ておらず、ガイドがいないとそもそもどっちに向けて歩き出せばいいかもわからない。ガイドを付けない旅行者を見たのは長期滞在らしい1組だけで、こうした事情を知っているかどうかにかかわらず、けっきょく全員がベルトコンベアのように同じシステムに載せられることになるようだ。

 ガイドは達者な英語を話す若い男性で、主要な教会はすべて案内してくれた。驚いたのは、時間の余裕があったにもかかわらず土産物屋に案内しようとしなかったことで、「じゃあよい旅を」といってさっさと帰っていった。2日間のガイド代にホテルと空港の送迎を加えて150ドル(+チップ)だった。

ラリベラの聖ギオルギス教会。岩を十字に掘り下げて教会をつくった    (Photo:@Alt Invest Com)

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バハルダールは雨季の終わりの10月に訪れるべき


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