アディスアベバは外国人でも街歩きができる数少ないアフリカの都市
アディスアベバに戻って、翌日は市内を観光した。アフリカ有数の都市で、近年は中国資本による都市開発が進んでいるというものの、高層ビルはまだ少ない。
アディスアベバの中心部 (Photo:@Alt Invest Com)
アディスアベバは外国人でも街歩きができる数少ないアフリカの都市でもある。観光地では小銭を要求する子どもが寄ってくることがあるが、ネットの旅行記に書かれているように子どもたちに取り囲まれて閉口するようなことはなく、最近はずいぶん変わってきたようだ。
とはいえ、歩いている外国人はほとんどおらず、みな車で移動している。危険を感じるようなことはないが、貧困層や物乞いは多く、「スマートフォンに気をつけなよ」と注意されたりする。
アディスアベバでは英語がかなり通じるので、地図を見ながらおろおろしていると「どこに行きたいの?」と親切に教えてくれる。ストリートガイドだという若者が声をかけてくることはあるがしつこくはなく、「ちょっとこのへんを歩くだけだよ」というとすぐに去って行く。
エチオピアはムッソリーニ時代のイタリアに占領されたことがあり、当時つくられたイタリア人街はピアッツァ(広場)と呼ばれている。いまは地元のひと向けのブティックや宝飾店が集まっているが、そこに老舗のイタリアンレストランがある。
昼はこのレストランで食べたのだが平日なのにほぼ満席で、アディスアベバ在住の外国人と地元のビジネスマンが半々という感じだ。前菜とパスタで3000円という価格帯で、エチオピアでも中間層が確実に増えていることを感じた。
アディスアベバの旧イタリア街、ピアッツァ (Photo:@Alt Invest Com)
アディスアベの老舗イタリアン (Photo:@Alt Invest Com)
「公認ガイド制度」を上手に活用すると快適な旅行ができる
ランチのあとアディスアベバでも由緒ある聖ギオルギス教会を訪れた。
案内板に入場料を支払うよう書いてあったので併設されている教会博物館に行くと、開館時間のはずなのに扉が閉まっている。あきらめて帰ろうとすると、鍵をじゃらじゃらさせた管理人がやってきた。博物館の前に所在なくたむろしている男たちがいるが、外国人客が来ると彼らが連絡するようになっているようだ。
その管理人に博物館の入場料を払うと、「ガイドを雇えば教会の中も見ることができるよ」と教えてくれた。せっかくなので観光しようと思って「そのガイドはどこにいるの?」と訊くと「僕だよ」という。
すでにラリベラとゴンダールでこの展開には慣れていたので、200ブルで案内してもらった。いつもなら怪しいと思って断るところだが、素直に800円払ったことで教会内の貴重な宗教画を見ることができた。
アディスアベバの聖ギオルギス教会 (Photo:@Alt Invest Com)
聖ギオルギス教会の宗教画。ガイドを雇わないと教会内に入ることはできない (Photo:@Alt Invest Com)教会の周囲は下町で、入口には物売りなのか物乞いなのかわからないひとたちが集まっている。こんな場所まで歩いてくる外国人はほとんどいないので、博物館の案内人はツアーの予定が入っているとき以外は鍵をかけ、どこかほかの場所で休憩しているのだろう。
聖ギオルギス教会の入口 (Photo:@Alt Invest Com)ラリベラのガイドは2日間案内したにもかかわらずいちども土産物屋に連れていかなかったし、ゴンダールのトゥクトゥクドライバーは予定外のコースをさんざん回らされても追加料金を請求しなかった。私の印象ではエチオピアのひとたちは淡白で、「それはいらないよ」というと「あっ、そうなの」という感じであっさり引き下がる。
「公認ガイド制度」を上手に活用して、お金を払ったらあとはぜんぶ任せておくと快適な旅行ができるのではないだろうか。
橘 玲(たちばな あきら)
作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『「言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)、『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)、『幸福の「資本」論 -あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(ダイヤモンド社刊)、『橘玲の中国私論』の改訂文庫本『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)、『もっと言ってはいけない』(新潮新書) など。最新刊は『働き方2.0vs4.0』(PHP研究所)。
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