家計管理の手法
「袋分け」は有効か?

 一方、よくFPの人などが家計管理の方法として「袋分け」という手法を推奨することがある。袋分けというのは日常生活費を項目ごとに分け、その項目ごとのお金を物理的に袋に入れておくという手法である。

 これも一見するとメンタル・アカウンティングのように思えるが、筆者はこの袋分けというのは支出抑制にはあまり効果はないと考える。メンタル・アカウンティングというのは、単に会計勘定を分けるということではなく、分けた勘定に沿った使い方をするという心のクセなのだ。

 だとすれば、袋分けというのは単に予算を視覚化するという効果に過ぎず、それが支出を抑制するということにはつながらない。袋分けした分は何の抵抗もなく、自由に使ってしまうことになるため、ほとんど効果はないだろう。もちろん日頃からかなりルーズなお金の使い方をしていて毎月の収支が赤字という家庭の場合は、こういう「予算の視覚化」は効果があるだろうが、それだけのことである。

 このように、会計勘定の仕訳とその使い方のルールに新しい工夫をすることで、自然に無駄な出費を抑えることは可能なのだ。日常の消費行動でごく当然のように行っていることについて、少し視点を変えるだけでお金を効率的に生かすことができるようになるかもしれない。メンタル・アカウンティング=心の会計というのは、人間の心理を利用することでお金を増やすことにも減らすことにもなりうるということは、知っておいたほうがいいだろう。

(経済コラムニスト 大江英樹)

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