年金手帳写真はイメージです Photo:PIXTA

老後の資産形成について「50歳からではもう遅いのでは」と考える人は意外と多い。確かに、「50歳でゼロから1億円を貯める」というのはさすがに難しいだろう。しかし、老後も安心して暮らせるだけの資金を貯めることはできる。その根拠を解説しよう。(経済コラムニスト 大江英樹)

老後の資産形成
「50歳からでは遅すぎる」は大間違い

 筆者は企業の中で50代前半の方向けに講演を行うことが多い。そんな席上でよくこういう投げかけを受けることがある。

「50歳からではもう遅いでしょう」という感想だ。結論から言えば50歳からの資産形成は不可能ではないし、決して遅いわけではない。

 確かに50歳でゼロから1億円を貯めようと思うとそれはさすがに難しいだろう。絶対に不可能とは言わないが、かなり高いリスクを取って投資をしないと無理だから、多くの人にとって再現性はない。

 でも「老後を安心して生活していけるのだろうか?そのために必要な金額を今からこしらえるのはもう遅いのではないか?」と考えているとすれば、それは大きな間違いだ。

 本コラム欄でも度々指摘してきたが、現代に働く人の9割は会社員や公務員だ。ずっと給与所得者を続けてきた人であれば、厚生年金が支給されるため、一般的にはそれほどお金のことを心配する必要はない。