有数のリゾートとしてリピート観光客が多かった沖縄が、居住する地、第2の拠点として注目を集めている。豊かで美しい自然と温暖な気候、アクセスの良さ、国内という安心感、そしてインフラや住居の整備などが、そのムーブメントを後押ししている。
 

 2018年度の沖縄県への観光客数は1000万人を超え(※1)、初の大台突破として注目を集めた。ハワイへの観光客数(18年・988万人(※2))を抜いたのも初めてである。

 観光の人気と相まって、不動産の人気も高まっている。地価は右肩上がりが続き、沖縄県内は19年の住宅地、商業地、工業地の全用途平均変動率が18年比プラス9.3%で6年連続上昇し、3年続けて全国トップの伸びを示した(※3)。人口増加率も2.9%と全国トップ(※4)、出生率も1.89と全国トップ(※5)になっている。高い人口増加率や出生率は、観光ばかりでなく、理想的な居住地域として認識されてきたことが大きい。

 事実県内では、商業施設・ショッピングモールを中心とした新規開発・再開発が活発に行われており、19年夏には浦添市西海岸エリアで沖縄県最大のショッピングモールが開業、20年春にはショッピング施設が集積する豊見城(とみぐすく)市の豊崎タウンエリアに、水族館が併設される大型ショッピングモール「(仮称)沖縄豊崎タウンプロジェクト」が開業予定となっている。

 なぜ、これほど沖縄が発展、注目されているのだろうか?

 沖縄は全国の主要空港から直行便のフライトがあり、羽田空港からは約3時間、関西国際空港からも2時間半弱という近さ。那覇空港からは、石垣島や宮古島などへのアクセスも簡便だ。また、年間平均気温23.1度と、一年を通して温暖な気候も大きな魅力だ。12月でも昼間は半袖で過ごせ、冬のゴルフを楽しむ避寒地としてはもちろん、花粉がほとんど飛ばない“避粉地”としても人気がある。

 また現在、沖縄県はインフラ整備にも力を入れており、既存の自動車道の整備をはじめ、沖縄都市モノレールには延伸計画があり、那覇空港でも第2滑走路が増設され20年3月末から供用が開始される。県は15年に「沖縄県アジア経済戦略構想」を策定し、国際競争力のある物流拠点、世界水準の観光リゾート地の実現、アジア有数の情報通信拠点「スマートハブ」の形成を目指している。

 さらに世界的ブランドのリゾート地としての成長が見込まれ、実際に「ザ・リッツ・カールトン」「ヒルトン」「シェラトン」「インターコンチネンタル」など、海外の著名リゾートブランドも続々と沖縄に進出している。

 移動距離の近さや物価の安さ、言語や医療の安心面から、特に元気で活発なアクティブシニア世代では第2の拠点として「ハワイではなく沖縄を選択する」というケースが増えているという。まさに沖縄は今、限りなくホットなのだ。

 

※1  2019年11月、沖縄県発表  
※2  2019年1月ハワイ・ツーリズム・オーソリティー(HTA)発表
※3  2019年1月1日時点の国土交通省  地価公示  
※4  2015年総務省「国勢調査」  
※5  2018年厚生労働省「人口動態統計」