採用市場における勝者の条件とは何だろうか。それはズバリ、適切な学習機会とキャリア開発機会を提供できることだ。この2つの機会を提供し続けている企業は、採用戦線を勝ち残るばかりでなく、社員の定着率が高まり、人材の戦力化が進むのである。

ボトムアップ型教育に潜む
2つの落とし穴

 適切な学習機会とキャリア開発機会を提供し続けるためにはどうすればいいのだろうか。それにはコツがある。そのコツを踏まえていないと、いくら人材育成に時間とコストをかけても、求める成果は上がらない。

 例えば、ボトムアップ型教育。多くの企業では、現場の意見を重視し、ボトムアップで教育計画を策定している。これは、現場ニーズに合った即効性の高い人材育成が期待できる一方で、思わぬ落とし穴も潜んでいる。

 1つには、社員にとって将来必要となるスキルが人材育成のテーマから抜け落ちること。もう1つは、数年先には必要ではなくなるスキル教育にも時間とコストをかけてしまうことだ。

 こうした落とし穴を避けるためには、現場の意見と中長期を見据えた経営の視点をすり合わせるのが大切だ。

 また、イマドキの若者は子どもの頃からスマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスを使いこなしてきたデジタルネイティブ世代である。この世代は、「行動を起こす前にまずはインターネットで調べる」という習慣が定着しており、事前に「答え」を求める傾向も強い。

 このため、「業務に必要な情報や知識を事前に与える」「キャリアを考える機会を確保する」といったコツを踏まえて、育成に当たる必要がある。

<若手社員育成のポイント>
●業務に必要な情報や知識を事前に与えて、仕事の意義を伝える
●近い将来のありたい姿をイメージさせ、「今できること」を明確にする

 こうした人材育成のコツについて、中堅社員向け、リーダー候補向けなど5つのポイントに分けてまとめた資料を用意した。全社横断の教育体系をつくり上げたり、全社員のスキルを「見える化」したりすることで、大きな成果を上げた企業事例も紹介しているので、採用と育成に悩む全ての経営者、人事担当者にご一読いただきたい。