「スピードアップと同様、中小ロットに対応できるサービスも求められています。中小ロットの輸配送はコスト高になると考えるのが普通ですが、中小ロットでの物流を請け負いながら、納期短縮にも対応し、売り上げを伸ばしている混載貨物のフォワーダーも生まれています。大手ではなく新興企業ですが、今後はこうした新たなビジネスチャンスも生まれるのではないでしょうか」

ロジスティクスは武器。
成長のために使いこなせ

※物流機能とは、輸配送・保管・入出荷作業・流通加工・梱包・情報管理機能を指す。

 左に掲載したのは、今後の業態別のロジスティクス強化範囲をまとめた表だ。

 物流の6つの機能、輸配送・保管・入出荷作業・流通加工・梱包・情報管理機能を軸にしながら、小売業なら、アマゾンのケースで触れたような納期短縮、ITシステム強化が求められる。卸売業なら在庫コントロールが大きな意味を持ち、製造業は当然、海外物流の強化が急務とされる。

 ロジスティクスを活用する側の視点に立つと、それぞれの機能は整備され、高度化してきているため、自社の戦略に不可欠な機能をまず利用し、成長局面に応じて選択する機能の幅を広げていくような発想が必要になる。それが「ロジスティクスを武器として使いこなす」ことにつながっていくのだ。

 最後に、大きな伸びが期待できるグローバル市場で、日本のロジスティクス企業が成長するために必要な要素を聞いた。

「日本企業の強みは“精度”だと思います。究極の納期短縮、つまりクオリティの向上とスピード化を実現するには、高精度のITシステムはもちろん、輸配送網の精度が欠かせません。日本の企業はこれまで人材育成に力を入れてきましたが、これは他国の企業との大きな差別化になるはずです」

 そして、「速さとクオリティを担保する人材教育の仕組み、持続する工夫が、日本の企業が成功する決め手の一つになるのではないでしょうか」と締めくくった。