豊富な経験を持つ
海外パートナー商社と連携
「PICTURES i」のサービスの軸となるのは、情報支援と入札コミュニケーション支援。会員になると、質の高い入札案件情報が提供され、実際に入札手続きを取りまとめる海外パートナー商社とのコミュニケーションをきめ細かくサポートしてくれる。
ソーシャルインパクト・パートナーシップ 事業部
佐藤 京 部長代理
「例えば、国連調達案件はUNGM(United Nations Global Marketplace)というポータルサイトに掲載されますが、落札の可能性のある案件を探し出すのは難しい。当社は日本企業向けと思われる案件をピックアップして会員サイトに掲載、海外パートナー商社を通してUNGMに掲載されない小規模で有力な案件も紹介しています」(同事業部・佐藤京〈さとうみやこ〉部長代理)
同社は、国際公共調達の商流に特化した英国・オランダ・スウェーデンの五つの専門商社と提携。国連調達の参入には、企業から国連機関の調達官に製品を紹介するアプローチも重要になるが、海外パートナー商社はその支援も行ってくれる。
「豊富な実績を持つ海外パートナー商社は、国連機関や国際機関でどのような製品が好まれるかを熟知し、日本企業が製品を売り込みたい場合、どの機関にどのようにアピールすればよいかをアドバイスしてくれます。応札に向けた交渉にも独自の商慣習があり、案件成約後の製品の運搬に関わるロジスティクスも含め、これら全てを企業が自前でやるのは、かなりハードルが高いといえます。また、海外パートナー商社の支援によりパッケージ型案件で国連調達市場への参入も可能となっています」(佐藤部長代理)
さらに「PICTURES i」では、国際公共調達市場における製品のニーズ評価や、過去の類似製品の調達実績などの調査に加え、新興国・途上国のニーズに即した製品開発のためのパートナーシップの構築や、外部資金獲得のための案件形成支援も行っている。
新興国・途上国への
プレ・マーケティングとして
ところで、日本企業が国際公共調達市場に参入するメリットとは何だろうか。
「一つは、海外販路を拡大するきっかけになること。民間市場が十分に成熟していない新興国・途上国で、独自に販路を開くのは容易ではありませんが、現地で信頼される国連調達を通して製品が認知されれば、代金回収の心配もなく、格好のプレ・マーケティングになります。またSDGsに取り組む企業にとっては、国連調達に参入すること自体がグローバルなブランディングの向上に役立ちます」と小柴部長は指摘する。
この市場に参入しているのは名の知れた企業ばかりでなく、独自の製品を持つ中小・中堅企業も多い。契約金額別では100万~1000万円の契約が最も多く、次いで1000万~1億円規模の案件と続く。「PICTURES i」は昨年12月に本格スタートしたばかりだが、日本の医療機器メーカーが海外パートナー商社と組んで、医療用の検査装置をある国連機関に応札するなど、すでに実績が出始めている。
今後日本企業の参入が予想されるのは、エンジニアリング、研究、医療機器、IT・通信機器などの分野。「製品や案件によっては価格面に加えクオリティーも評価される比重が高まる場合もあり、日本製品が入る余地は大きい」と小柴部長は日本企業の優位性に期待している。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
ソーシャルインパクト・パートナーシップ事業部
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