環境貢献製品を拡充し
カーボンマイナスも視野に

 同サミットは、積水化学創立65周年記念プログラムとして開催された。5年前に続き2回目で、『環境トップランナー』を標榜する同社の姿勢をグローバルに再確認する機会にもなった。

環境貢献製品とは 顧客および社会の環境負荷低減(温室効果ガスの削減、廃棄物削減、省資源化、節水・水循環など)に、一定レベル以上、確実に貢献できる製品・事業と、積水化学は定義。
<主な環境貢献製品>
上:2003年、他社に先駆けて光熱費ゼロ住宅を販売。セキスイハイムの太陽光発電システム搭載住宅は累計で約10万棟に上る。/左下:地面を掘削することなく下水管などを更生するSPR工法。環境や交通・市民生活への影響が少なく、工期も従来工法に比べ大幅に削減できる。/右下:遮音・遮熱性能を備える中間膜を自動車の合わせガラスに用いれば、燃費改善、CO2排出削減につながる。ハイブリッドカーはじめ多くの自動車で採用されている。

 「環境経営には、事業としての取り組みと社会貢献の二つの側面があります。社会貢献として国内外で植林活動をしたり、多くの事業所で地域清掃などの活動をしていますが、参加することで従業員の意識も変わります。事業活動にもこうした経験が生きてくるもので、サミットでも同様の波及効果が期待できます」と久保取締役は明かすが、すでにそうした動きは出ている。

 例えば、2006年度から独自の環境貢献基準による『環境貢献製品』を設定。11年度末には連結売上高の37%が環境貢献製品となった。

 「第三者機関である『社外アドバイザリーボード』が環境貢献製品認定制度全体の助言・提案を行います。若手が開発段階から意見交換するなど、エコをキーワードに付加価値を高める製品づくりが根付いてきました」と、久保取締役も胸を張る。この間、利益も順調に伸びており、社会のニーズに一歩先んじた経営が市場でも評価されていることがわかる。
環境貢献製品売上高比率が37%に達したことで、34万トンのCO2排出量削減効果があった。同社の国内生産活動における排出量とほぼ同量だ。

 13年度末には環境貢献製品売上高比率40%の計画目標をクリアする見通しで、「カーボンオフセットを超えるカーボンマイナスを、グループ全体で達成することが次の目標です」。

 環境経営長期ビジョンでは、30年に環境フロンティア社会が実現すると想定。カーボンマイナスの実現に加えて、生物多様性の保全も目標とする。

 「手法は模索の段階ですが、地域のNPOなどと連携して固有種・在来種を保護するモデル事業所の国内開設を計画しています」。環境のトップランナーとして、先進の取り組みを継続する積水化学の今後に注目したい。