「働き方改革」関連では、高度なセキュリティーを担保しながら臨場感のあるオンライン会議が行える会議室専用デバイス、スマートフォンを使って、いつどこにいても代表電話への着信に対応できるサービスなどを紹介。

「業務プロセス」関連では、申請者と決裁者の双方がリモートワーク中であっても、ハンコなしでセキュアに決裁できるシステムのデモを披露した。さらにネットワークサービス関連では、オンライン会議における通信障害を回避するため、複数回線の接続状況をリアルタイムに把握し、最適な回線をダイナミックに選択できるサービスが紹介された。

 本セッションの後半では、KDDIのパートナー企業であるアイレットから代表取締役社長の齋藤将平氏、LACから代表取締役社長の西本逸郎氏も登場し、業務プロセス改革やセキュリティー対策の最新動向についてディスカッションした。

 続いて登場した三井不動産 執行役員の中村健和氏は、今後のオフィスのあり方について「働く場所、働き方のベストミックスが求められるようになる」と述べ、「5Gを使った次世代のオフィスソリューションをKDDIとともに創り上げていきたい」と期待を込めて語った。

 セッションの最後には、KDDI 執行役員でコーポレート統括本部 人事本部長を務める白岩徹氏が登場し、2020年4月30日に始まったKDDIの新人事制度について説明。ニューノーマル時代の人事の一環として、23年までに500人のDX人財を育成することを明らかにした。

 藤井氏はセッションのまとめとして、「今まではオフィスに集まり、画一的なスタイルで仕事をするのが当たり前だったが、今後は多様な働き方を許容しながら、いかにビジネスを継続的に発展させるかが重要になる。経営層の方々には、多様性の実現をポイントとしてコーポレートDXを推進していただきたい」と語った。

5GやIoTを活用したDX実践例を次々と紹介

KDDI株式会社
執行役員
ソリューション事業本部
ソリューション営業本部長
那谷雅敏

 続いてのセッションには、KDDI 執行役員の那谷雅敏氏が登場。「いざ現場へ、その先へ ~持続的成長を実現するビジネスITのDX~」と題し、ビジネスにおけるDXの実践例を取材や対談などを交えて紹介した。

 最初に紹介したのは、中部電力の事例である。同社は変電所の監視・点検を効率化、省人化するために5G基地局を設置。巡視ロボットの遠隔運転操作や、高精細カメラを使った遠隔監視、低遅延なMECを活用したAIによる映像分析などに5Gを活用している。

 次に紹介したNEXCO西日本は、高速道路のパーキングエリア内に設置されているシャワーステーションを無人化するために、スマートキーを導入。対面での鍵の受け渡しが不要になり、省人化が実現した。24時間いつでもスマートフォンで事前予約できるようにしたことで、以前は多かった順番待ちがなくなり、顧客満足も向上。那谷氏は「CX(顧客体験)とEX(従業員体験)を同時に向上させた非常に理想的なDX事例だ」と説明した。

 この他、超高温で作業員が近づけない熱延工場の現場に5Gで監視カメラを置き、スマートファクトリー化を実現したJFEスチール、生産ラインにIoTを導入し、生産性向上と管理作業のペーパーレス化を実現した資生堂・上海工場の事例を紹介した。

 資生堂・上海工場の例も含め、KDDIは世界規模でDX支援を展開している。那谷氏はその陣容について、「60カ国、102拠点に5700人のスタッフがおり、IoTプラットフォーム構築ではグループ会社のソラコムが140カ国・地域をサポートしている」と説明した。

 続いて、那谷氏自身が現場を訪ねた事例が、映像を使って3つ紹介された。1つ目はホームセンター大手のカインズである。同社は、商品在庫数や店舗での陳列場所がスマートフォンで分かる「カインズアプリ」を顧客に提供。また、ネットで注文すると店舗で商品を取り置きしてくれる「カインズピックアップ」というサービスも行っている。

 カインズでは今後、買い物中に決済を済ませ、レジに並ばずに店を出られる仕組みも検討しており、那谷氏は「飛躍的な発想でも、テクノロジーがあれば解決できるというカインズ様の考え方に感銘を受けた」と感想を述べた。

 各種メーターを開発・製造する東洋計器の事例では、LPガスのメーターにIoT端末を取り付けることで、利用者は毎月の使用料が分かり、ガス会社は合理的な配送計画や電子請求・決済などができるようにしたことを紹介。

 もう一つの事例である日立物流は、「人にフォーカスしたDX」をテーマに、従業員の安全を考慮した物流現場の変革を進めており、5Gを使った危険作業の非接触化や、訓練におけるVR(仮想現実)の活用などを検討している。那谷氏は、「事業の成長のためには、経営の効率化だけでなく、従業員満足を高めることも大切だという考え方には、非常に共感できる」と語った。

 セッションの最後には、東日本旅客鉄道(JR東日本)常務執行役員でCIO(最高情報責任者)兼CDO(最高デジタル責任者)を務める大内敦氏が登場し、那谷氏との対談が行われた。 

KDDI株式会社
取締役執行役員専務
ソリューション事業本部長
森 敬一

 大内氏は、JR東日本が「高品質なモビリティーを通じて、いつでもどこでも、快適に、自由に移動できる世界を実現したい」というミッションのもと、MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)の強化に取り組んでいることを説明。利用者による移動手段の選択や、チケットの購入、決済などがオールインワンでできるプラットフォームを構築したいと語った。

 最後に那谷氏は、「KDDIは、これからも皆さまの現場にお邪魔して、これからのビジネスのあり方を一緒に考えていきたい」と述べてセッションを終えた。

 イベントの締めくくりとして、ナビゲーターを務めたKDDI 取締役執行役員専務の森敬一氏は、「私たちはお客さまの目標に共感し、その目標を共に達成することで自分たちも成長できると信じている。DXを進める上でのお困りごとがあれば、ぜひご相談いただきたい」と語った。

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