夏場までは各国での経済再開の動きに伴って石油需要の持ち直し観測が強まったが、秋に入ると、相場の弱材料が多くなった。サウジアラビアによる原油公式販売価格の引き下げ、OPEC(石油輸出国機構)の産油量増加、トランプ米大統領の新型コロナ感染、米追加経済対策を巡る協議の難航などが下押し材料になった。

 10月後半には、欧州で感染が急拡大し、経済活動の制限を再導入する動きが広がった。米国でも新規感染者数が過去最高を記録する状況となり、石油需要が抑制されると懸念された。足元でワクチン開発への期待が高まっているが、感染拡大で石油需要の減退観測が強まった。

 また、内戦が続いていたリビアで恒久停戦が合意され、原油生産が再開された。幾つかの産油国が増産を志向しているとの報道が出て弱材料になる場面もあった。

 OPECにロシアなど非加盟産油国を加えたOPECプラスは、5~7月に日量970万バレルの協調減産を実施した後、8月からは同770万バレルにまで減産を緩和した。来年1月からはさらに同約200万バレル分ほど減産を緩和する予定である。

 しかし、原油需要の鈍化懸念が根強い中、11月30日~12月1日のOPEC総会やOPECプラス閣僚会合で予定通りに減産緩和が決定される可能性は低下している。影響力の大きいサウジやロシアからは、減産を強化することも選択肢として検討する姿勢も見え始めている。

 バイデン政権になれば、イランやベネズエラに対する制裁が緩和され、原油供給が増えるとの観測もある。米大統領選やワクチン開発を受けて、多くの資産の相場は上昇しているが、原油は他に比べてやや出遅れる可能性があるように思われる。

(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)

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