金価格と連動性が高い
米国10年実質金利
金価格の決定要因はいくつもあるのだが、少なくともこの15年は、米国の10年実質金利(物価連動国債の利回り)との連動性が高いといえる。
実質金利の構成要素をさらに分解すると、10年国債利回りと10年期待インフレ率に分けることができる。
10年国債の利回りは、米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の影響を強く受ける。足元、金価格が上昇して1700ドルを上回る水準が定着したのは、コロナウイルスの感染拡大を受けた景気急減速の中、景気下支えのためにFRBが金融緩和を実施したことによって、長期金利が低下(実質金利が低下)したことの影響が大きい。
この実質金利を基準に考えると、「ドル高(安)の時に金が売られる(買われる)」というよりも、「米実質金利が上昇したため、ドル高・金安になる」というロジックで考えたほうが、整合性が取れる。
もちろん、ドル指数動向が金価格を動かすこともあるが、その影響がより大きいのは、ユーロ初のイベントで、ユーロ主導でドル指数が変化した時や、介入などの実弾が投入されたときである。