原油価格Photo:PIXTA

業界で話題となった
BPの長期見通し

 新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴う経済活動の停止によって景気に急ブレーキがかかり、原油価格は急落し米国の指標原油であるWTI価格はマイナス30ドルまで沈んだ。各国の矢継ぎ早の金融緩和や経済対策の実施によって経済活動は回復、原油価格もこれに歩調を合わせる形で上昇してきたが、ここに来て上値が非常に重くなっている。

 新型コロナウイルスの感染が欧州で再拡大しており、再びロックダウンする都市が増えるのではないかとの懸念が強まっているほか、今回のパンデミックで人々の生活様式が変化し、需要のパイ自体が小さくなっているといった需要の構造面での変化の影響は小さくない。そして、OPECプラスの供給能力が膨大であることもまた上値を重くしている。

 結果的に原油価格は当面低迷する可能性が高い。ではこのまま価格が安定するのか、といえばそうとはいえず、むしろ価格の変動性は増すのではないかと考えられる。

 オイルメジャーの一角であるBPは毎年エネルギーの長期見通しを発表している。エネルギー業界ではBPが作成する統計や見通しは定期的かつ、詳細な情報が提供されるため、参考にされることが多いのだが、先日発表された長期見通しは業界でちょっとした話題になった。「石油の需要減少は想定よりも相当早いペースと進む」と予想されていたためである。