2020年の金相場は、3月に1トロイオンス当たり1450ドルの安値を付けた後、史上最高値まで大幅に上昇し、8月に2072ドルを付けた。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、投資家のリスク回避の動きが強まり、安全資産である金が買い進まれた。各国で行動制限などが強化され、経済活動が落ち込み、中央銀行が金融緩和を進めたことも金相場を支援した。各国で財政支出が拡大され、将来のインフレにつながるとの見方も相場上昇につながった。
しかし、金相場は高値を付けた後、利益確定の売りが出やすくなった。9月は米国などで新型コロナの感染拡大ペースが鈍化する中、投資家のリスク志向が回復し、安全資産への需要がやや後退した。米中対立激化の懸念も一服した。10月は、トランプ米大統領が感染したことや米追加経済対策を巡る協議の行方が不透明要因となり、相場は一進一退だった。
11月は、米大統領選挙が近づく中、バイデン前副大統領有利との見方が強まり、トランプ氏勝利の場合に比べて、財政赤字が膨らむとの見方が金相場を支援した。欧州や米国での感染拡大も相場の押し上げ材料だった。