直撃決算#2
Photo:Hiroshi Watanabe/gettyimages

特集『コロナ直撃決算 勝者と敗者』(全13回)の#2では、過去の利益の推移や財務体質などでふるいにかけつつ、今期の予想営業利益の伸び率が高い企業を選び出した。上位10社だけ見ても、うち8社が上場来や年初来の高値を更新中だ。時価総額が小さい企業の中から、来期以降も業績の伸びが期待できそうなところを選び、業績が順調な限り長期で保有するのも、成長株投資の醍醐味である。(ダイヤモンド編集部 田中久夫)

「週刊ダイヤモンド」2020年9月12日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

「正露丸」の大幸薬品が出した除菌剤が大ヒット
株価は年初来安値から2.7倍の急騰

 コロナの感染拡大に伴い、株価が急上昇した医薬品メーカーの一つに大幸薬品がある。8月20日には2928円の上場来高値(調整後)を付けた。年初来安値からは2.7倍の急騰となる。

 大幸薬品の社名は知らなくても、主力商品であるラッパのマークの「正露丸」はご存じだろう。

 8月12日に発表した第1四半期(2020年4~6月)決算は、前年同期比13倍超となる約28億円の営業利益を達成したが、けん引したのは正露丸ではなく、「クレベリン」という除菌剤だった。

 二酸化塩素分子を発生させ、空間に浮遊するウイルス菌を除去する製品で、自宅のリビングや寝室に置いて使用するタイプから、携帯に便利なスプレー型やスティック型までそろっている。

 通常なら、インフルエンザが流行する冬に売れる商品だが、今期は4~6月で前通期の約半分の40億円を売り上げ、閑散期の夏場に入っても売れている。大幸薬品はクレベリンの生産能力向上のため新工場の建設を計画中だが、果たして、今後も需要拡大は続くのか。

「コロナの感染拡大で、消費者の衛生意識は高まっている。今後、国内ではオフィス、ホテル、車の中などでの使用を提案して拡販を狙う。そして、競合商品のない海外での展開も検討している。特に正露丸の知名度が高い中国、香港、台湾で販売チャネルを広げていきたい」(中條亨・大幸薬品企画・IRグループマネージャー)

 コロナが直撃した今期決算で、利益を伸ばす企業はどこか。下のランキングは、今期の予想営業利益の伸び率が高い順に掲載したものである。ただし、前期の利益が少な過ぎたり、財務の安定性が悪かったりしては問題なので、一定の条件でスクリーニングしている(成長株ランキングの見方と算出方法参照)。

【成長株ランキングの見方と算出方法】
全上場企業を対象に、今期の予想営業利益(会社予想ベース)の伸び率の高い順にランキングを作成した(変則決算は年換算して計算)。ただし、以下の条件でスクリーニングしている。

・過去3期、営業利益が前期比でマイナスになっていない
・売上高営業利益率が5%以上(実績値)
・自己資本比率が30%以上(実績値)
・時価総額が100億円以上(8月21日現在値)

*HDはホールディングスの略。日経QUICKのデータを基にダイヤモンド編集部作成

 前述の大幸薬品は、ランキングで2位の伸び率となった。ほかの上位企業の顔触れも見てみよう。