「従来のようなオフィスに縛られた働き方を変えなくてはいけない」
出版や映像、ゲーム事業などを行うKADOKAWAがそう考えたのは、2015年のことだった。
そもそもは2014年、埼玉県所沢市に取得した広大な土地に、
KADOKAWAの世界観を発信する複合施設を造る計画だったが、
クリエイティブな環境にふさわしい新しいオフィスをという機運が高まった。
さらに「2011年3月11日の東日本大震災で、万が一に備えて本社機能を分散したほうがいい」
と経営陣が考えていたことも後押しとなり、新しいオフィス造りがスタートした。
同時に「オフィスに縛られない働き方」についてもプロジェクトが進み、
スマートフォンの配布やペーパーレス化などと共に職場のフリーアドレス化、
さらにテレワークやWeWork などのサテライトオフィスの活用も行われた。
そして2020年2月には全社員を対象とした全ロケーションにおける
ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)が始まり、
「シームレスな働き方」は新たなステージに入った。
いまでは東京・飯田橋と埼玉・東所沢を中心として、各地のWework を活用した
社員自らが目的に合わせたワークプレイスを選択する働き方が始まっている。
今回、初期よりプロジェクトを推進してきた担当部長にプロジェクトの試行錯誤と、
KADOKAWAが目指す「シームレスな働き方」についてインタビュー、
前段では「オフィス学」の第一人者である東京大学の稲水伸行准教授に
「理想のワークプレイスとその条件」について貴重な示唆を得た資料を公開する。