「真のグローバル企業」とは何か?を考えてみたことはあるだろうか。2020年9月に刊行された「ワールドクラスの経営」では、「社会的に大きな価値を生み出す事業を通じて顧客や投資家を満足させ、独自の企業文化を支える従業員・パートナーなどあらゆるステークホルダーに喜び与え、きわめて高い収益力を維持する企業」であると定義している。「真のグローバル企業」になるための要件を探る。
「海外で積極的に事業を展開し、M&Aも功を奏し、年々海外売上高比率が伸びている。弊社ももう立派なグローバル企業だ」と考えている方にお聞きしたい。あなたの会社は次の3つの質問に、はい(Yes)と答えられるだろうか?
【質問1】世界中のキャッシュが数えられる
【質問2】グローバルで人材に関する情報が整備されている
【質問3】強みの源泉(コア・コンピテンシー)が 整理され、共通理解ができている
これらの問いに即座に答えることができるのが「真のグローバル企業」である。ワールドクラスの経営陣は、試行錯誤しながら現在の姿をつくり上げており、その特徴は、「経営の基本動作」に表れている。
日本企業の中には、ワールドクラスの「経営の基本動作」をベンチマークと称して集める傾向が見られるが、模倣してみるとどこから手をつけたらよいかがわからないほど複雑かつ包括的で、結局扱いきれていないことが多い。そして、「外資だから」「トップダウンが効くから」「人を切れるから」と我彼の差を強調し、「できない言い訳」をする。自社のポジション(現実)を受け止め、自ら変わる必要性を自覚し、どう変わればいいかを真剣に考えていない。それが、「グローバル化」を掲げる日本企業の現実だろう。
もし「真のグローバル企業」になりたいのであれば、ワールドクラスの経営行動に照らして、あなたの会社の現状をチェックしてみてはいかがだろうか?