景気は回復に向かうも
庶民の懐は寒いまま…
だが、欧州の債務問題は片が付いたわけではなく、来年も一進一退の状況が続くとみられる。米国には増税と歳出削減で一気に景気が後退しかねない「財政の崖」問題があり、中東の紛争も続いている。
「方々で火種がくすぶっている状態で、政策のかじ取り一つで状況が大きく変わる可能性があります。フランスや中国などの主要各国で新たに選出されたトップリーダーの政策次第では、今年同様、不景気には陥らずとも、景気停滞局面が続くこともあり得るでしょう」
その上、景気が回復基調に向かったとしても、すぐに企業業績が改善するとは限らない。
「輸出企業を中心に13年3月期決算は厳しいものになる可能性があります。加えて、13年3月には借金返済を猶予する中小企業金融円滑化法も終了する。何らかの手立てが講じられなければ、倒産リスクが高まり、雇用面や収入面の不安は今年以上に高まるかもしれません」
景気が上向く可能性はあっても、庶民の懐具合がよくなるわけではないのだ。
ボーナスに依存しない
家計管理を
深野氏は、イザというときに備えて、ボーナスを当てにしない家計管理と余裕資金を厚めに持つことを提案する。
「ボーナスは、働く側にとって生活給と考えがちですが、企業側にとっては業績に連動するもの。まるでスタンスが違います。だから、ボーナスを当てにしていてはいけません。例えば、住宅ローンは毎月の給料だけから返済し、何かあった場合にボーナスで補填するなど、ボーナス依存家計からの脱却を図る必要があります」
ちなみに、住宅ローンについては、「今は繰り上げ返済のアクセルを踏む時期ではない」とも。
「繰り上げ返済をすればローン残高は減りますが、その分手元資金も減ります。雇用面でも収入面でも不安のあるときに、それは避けるべきです。ローン残高を減らすには、期間短縮が最も効果的ですが、子どもの教育費などでお金がかかる時期なら、返済額を軽減し、家計収支を改善するなど、その時々の状況に合わせた工夫をすることが必要です」