住み慣れた環境で、
必要なサービスを

「サービス付き高齢者向け住宅」を選ぶポイントとしては、(1)商業地域か住宅街かという立地条件(2)最寄り駅からの交通アクセス(3)医療機関や金融機関などの有無を含めた周辺環境(4)食事サービスの状況(5)居室の間取りや方角などを確認したい。「高齢になると、坂道があるか否かが重要になったりします。また通院率が高くなる歯医者や皮膚科が近くにあるか。食事サービスに関しては、食事サービスの有無、建物内で調理するのか弁当などの配食なのかどうかの確認。居室の方角というのは、朝日が差し込む東向きか、西日が当たる西向きか、24時間の暮らしを考慮する必要があります」と中村氏は解説する。

「サービス付き高齢者向け住宅」には、事業者の参入を誘導するために、補助金や税制、融資などについてさまざまな優遇措置が設けられている。例えば補助金については、建築費の10分の1、改修費は3分の1(1戸当たりの上限100万円)が国費から拠出される。またデイサービスや訪問介護や介護、食事サービス施設などを併設する場合の補助金制度もある。大規模になりがちな有料老人ホームと違い、土地のオーナーが土地活用のために事業を始めるなど、市街地の狭小地が利用されるケースもある。入居者にとっては、住み慣れた環境で必要なサービスを受けながら暮らし続けられるというメリットが生まれる。

 中村氏は最後にこうアドバイスする。「“サ付き”に限らず、高齢者の住まいを考えるに当たっては、自分が(入居者が)どういう暮らしを希望しているのか、その住まいに期待することは何かを明確にしておくことが大切です。元気なときに考えていたことでも、要介護状態になると考え方が変わってくるのが“老いの現実”。逆に言えば、元気なときにこそ、高齢者の住まいのあり方を理解し、幅広く情報を集めておくことが肝要になるのです」