伸びしろが大きいのは
新エネと省エネ

 エコカー関連を含めて広く考えた場合、近い将来、環境ビジネスは50兆円の規模に達すると菊池氏は見込んでいる。

「今後10年で、現状で50パーセント超を占める廃棄物リサイクル関連が30パーセントまで比率を下げ、新エネルギーと省エネ分野が倍増の勢いで伸びると見ています」

 省エネ分野では、オフィスビルや工場の空調や各設備機器の省エネはもちろん、発電所自体の発電、送電・蓄電システムの高効率化なども欠かせない。

「実は、数多くの手法があるにもかかわらず、わずかしか取り組んでいない企業が多い。今後は、熱・水・ガス等の回収と再利用が大きなテーマです」

造成、系統連係ノウハウ、
初期の償却がポイント

導入期⇒成長期と右肩上がりに市場規模が増加、成熟期で頂点となり、移行期⇒安定期となだらかに市場規模は縮小。工場、オフィスビルで最も電気を使うのが空調、次いで照明と言われ、省エネのカギを握る。新エネ分野で唯一の「成長期」が太陽光発電。「発電した電力を送電する系統連係や土地造成に加えて、電力会社や経済産業省との交渉ノウハウも求められます」(菊池氏)。
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 固定価格買取制度を機に、太陽光発電に参入しようという企業も増えている。

「ある種、バブルの様相も呈していますが、新規参入の場合、留意すべき点も多い。例えば、発電した電力を送電するための系統連係について、知識が少ないのが現状。また遊休地などにパネルを並べる場合も、土地造成のノウハウが必要です」

 さらに菊池氏は、「20年にわたって固定価格で買い取るという制度自体も、ある程度、疑問視すべき」と主張する。

「社会情勢によっては、制度の変更や改正される可能性も皆無ではありません。そのため、太陽光発電への新規参入では、10年以内で初期投資を回収できるプランを提案しています」

 また、「安易な見込みで始めた事業者が、予想外の採算悪化やメンテナンス費増大などで撤退するケースも増えそうです。そのため、数年後には再生可能エネルギー制度による参入事業者のM&Aが活発になり、環境ビジネスの新たな動きとなるでしょう」と菊池氏は予想している。