サステナリンクのCO2排出量の可視化では、国内輸送だけでなく国際輸送にも対応しているほか、算定手法について第三者認証機関からの妥当性評価の取得を予定するなど、信頼性にも配慮している。

「NDA(秘密保持契約)を結んだ上で、当社との二人三脚で取り組みをスタートされるお客さまが徐々に増えてきました」と伊藤氏。「お客さまの側からすると、以前から自社のサステナビリティについて課題を感じながらもなかなか手が付けられなかった中、当社からの提案によって背中を押されたお客さまもいらっしゃいます」と語る。

 また、野口氏は「お客さまは三つのリスク全てへの対応を同時並行で進める必要はなく、自社の課題に応じて優先テーマを選んでいただければと思います」と言う。

 サステナリンクが通常のコンサルティングサービスと大きく違う点は、単なる診断にとどまらず、具体的な改善策を提案した上で、実際のオペレーションも三井倉庫グループが担当できる点だ。三井倉庫グループには、持ち株会社である三井倉庫HDに加え、三井倉庫、三井倉庫エクスプレス、三井倉庫ロジスティクス、三井倉庫サプライチェーンソリューション、三井倉庫トランスポートという五つの中核事業会社があり、国内から国際、川上から川下まで一気通貫による物流サービスの提供が可能。「実際にモノを動かしている総合物流事業者として、机上の空論ではない、現場力に裏付けられたソリューション提案をできることがわれわれの最大の強みです」(伊藤氏)。

 例えば、災害リスクに対応した代替輸送ルートの確保や在庫の分散化などについても、数多くの倉庫拠点を持ち、日々拠点間で大量のモノを動かしている経験が強みを発揮する。「モーダルシフトやバックアップルートの提示、共同物流の提案など、フルスペック物流事業者ならではの“引き出し”の多さが、お客さまの事業継続リスクの軽減に役立つはずです」(伊藤氏)。

DXを通じてサービスの深化を実現

 さらに、サステナビリティを実現していく上で欠かせないのがデジタル化だ。同社は昨年、グループのDX戦略を策定し、今後3年間で総額100億円のDX投資を実行していく。「データプラットフォームを構築することで、各種作業の見える化やデータ解析の精度が格段に上がります」(野口氏)。

 例えば、労働力リスクへの対応では、作業分析の精度向上などにより自動化機器の導入などをサポートしていくほか、貿易など顧客自身の事務作業の工数削減などもデジタル化で貢献できるようになるという。

「今後も、デジタル化などを通じてサステナリンクのサービス内容を深く、進化させていきます。グループ全体でもお客さまへの提案力を底上げできるように社員向けの研修の強化など社内体制も強化していきます」(野口氏)と、「止めない物流」の実現に向けて一層、力を入れていく考えだ。

※役職は取材当時のもの

●問い合わせ先
三井倉庫ホールディングス株式会社
〒105-0003 東京都港区西新橋3-20-1
URL:https://www.mitsui-soko.com/sustainalink/