来年創立120周年を迎える伝統校。文理横断の探究学習を取り入れ、充実した英語学習や独自の理系プログラムも展開している。今年、高校に「サイエンスクラス」を新設。関心を広げ深化させる学習環境で「志」を育み、多様な進路を実現している。
西川史子校長
「自ら求め、深く学ぶ」「志を抱き、未来を拓く」「お互いに思いやり、仲間とともに創る」の教育目標に基づく、多彩な学習プログラムが注目されている山脇学園。昨年就任した西川史子校長は、同校での6年間は、生徒の「志」を開拓する時期と話す。「志の根と幹が太く育てば、どんな状況でも枝をしなやかに伸ばし、生きていけると考えています」。
「志」を育むための重点目標を三つの言葉に込めている。まず「自学自習」。中学3年間、生徒は毎日の学習を手帳に記録し、担任の助言を受けながら課題や取り組み状況を振り返り、学び方を身に付けていく。「学びを自分でデザインできるようになると、グッと楽しくなります」(西川校長)。次に「自らチャレンジする心」。模擬国連への参加や大学・企業とのプロジェクト研究、他校との共同プロジェクトや学会や各種コンテストへの出展など、校外での自主活動も盛んだ。三つ目は「礼節の心」。「思いやりを伴った礼の心は、社会で豊かな人間関係を築いて活躍し貢献するために不可欠なもの」と西川校長は話す。
「志」の入り口となる、興味・関心を掘り下げるための文理横断の授業を展開してきた。昨年、これらを探究的な学びの視点でまとめた「総合知」カリキュラムを編成し、科学的思考力と、社会的な課題の解決力の育成を目指している。その中心が、英語や科学を重視する独自授業だ。中3の「探究基礎」では、エクセルの基礎やプログラミング、社会調査やプレゼンテーションの手法を学ぶ。
「サイエンスクラス」を
高校に新設
本格的な実験機器をそろえた校内施設「サイエンスアイランド」を拠点に、自然科学系の探究学習も展開。中1・中2の「サイエンティストの時間」では、仮説、実践、分析・考察、発表といった研究の基礎スキルを身に付け、希望者は中3の課外活動「科学研究チャレンジプログラム」で、ロボット、パソコン、生物の3分野を深化させることができる。今年からは「サイエンスクラス」を高校に新設。科学英語やデータサイエンスなどの独自授業の他、研究活動で学会などでの発表も目指す。英語教育では、中学3年間、校内施設「イングリッシュアイランド」(週1回)で英語をツールとした授業を受ける。中3の「英語チャレンジクラス」(選択制)も、クラス活動は全て英語。学年末の英国語学研修(2週間)が総仕上げとなる。高校では英語圏の4カ国で2週間~1年の研修・留学制度を用意している。
同校で磨かれた生徒の「志」は、多様な進学実績にも表れている。今春は、医学部3人をはじめ約3割が理系学部に進学、関心領域を深めたいと地方の大学を自ら選ぶ生徒も珍しくない。主体的な学びを育むプログラムに共感が広がり、志望者数の増加に結び付いている。