ICTの活用で、生徒一人一人に応じた、学びの個別最適化を充実させてきた。進学支援、キャリア教育の領域でも、その傾向を反映させている。昨年度高校に4コースを新設。特色ある授業ときめ細かな指導で、進学実績を伸ばし、入学希望者も大幅に増えている。
髙橋知仁校長
今夏、IT大手のNECと連携し、高校1年の生徒とさまざまな業種の社会人が、マンツーマンのキャリア面談をする試みが始まる。自分の興味関心に近いプロフィールの社会人数人を生徒が選び、夏休み中に1人ずつオンラインで面談するという、斬新なキャリア教育のプログラムだ。「生徒が会いたい人を選び、かつ1対1で対話する。この体験から受ける刺激は、とてつもなく大きいと思います」と、髙橋知仁校長は期待する。
進学支援も個別対応型だ。大学合格の6割を占める推薦や総合型選抜の希望者に1人ずつ担当教員が付き、志望理由書や小論文のチェック、面接対応まで指導する。「生徒は受験までに、自らの考えを伝える力や表現力がめきめきと付いていきます」(髙橋校長)。合格実績は大幅に伸び、今春の現役合格者は国公立が52人、早慶上理が29人、GMARCH・関関同立が202人、海外大に6人が合格した。
個別指導を充実させる理由について、髙橋校長は、こう語る。
「生徒は他人と比べて自分を低く評価しがちです。でも『やったらできた』という成功体験を重ねるうちに自己肯定感や、やる気が生まれてきます。そのためには個別指導が必要です。助走で教員たちが丁寧に対応すれば、生徒の『内燃機関』はおのずと回り始めるのです」
ハウス制、日替わりMC
成長を支える独自の制度
中学ではICTによる学習と併せ、「家庭学習帳」や「セルフスタディノート」などきめ細かな指導で学習習慣の定着を図る。また、中学1~3年の縦割り班で行事や研修に取り組むハウス制、日替わりで学級のまとめ役を担うMC制度など、生徒の成長を支える独自の制度もある。
高校では昨年度4コースを新設、生徒の希望や特性に応じたカリキュラムを充実させた。
最難関大学を目指す「スーパーアカデミック」では、早稲田大学の名誉教授による探究ゼミで、生徒が自ら選んだテーマを深めている。最も生徒数の多い「アカデミック」は幅広い進路選択に対応できるカリキュラムを用意、AIを用いた学習ソフトで苦手科目の克服を図る。
「キャリアデザイン」は実践型授業が特長だ。昨年度は企業と連携し、生徒が栽培・収穫した材料からピーナッツバターを加工、東京・青山のマーケットで販売した。
「グローバルスタディーズ」は外国語教育と探究型学習に力を入れる。昨年度、海外協定大学推薦制度への加盟により、海外大学への出願が容易になった。
この5年間、中学の受験者数は過去最高を更新し続けてきたが、今春の中学入試の志願者は、前年度の1.7倍近い1420人に急増。入学者も大幅に増えた。大学入試の多様化に即した機動力と従来のきめ細かな指導とが相まって、生徒の可能性を広げるカリキュラムを生み、同校の躍進につながっている。