1953年に「神と人とを愛する人間。神と人とに愛される人間」を育てるという建学の精神の下、埼玉県で初めてのミッションスクールとして創設された浦和ルーテル学院中学校・高等学校。少人数制教育、丁寧な個別指導で、生徒一人一人の個性と才能を見いだし続ける。
浦和ルーテル学院小・中・高等学校
福島宏政校長
「ギフト教育」を教育方針に掲げる浦和ルーテル。それは「神様からのギフトである才能や個性を伸ばし、世界に貢献する人間を育てること。周りの人々を幸せにし、自らも幸せに生きることを目標としています」と、福島宏政校長は語る。
そのギフト教育を実践し、一人一人の個性を見つけるための多数のプログラムが用意されている。例えば、「フィールド・プログラム」がそれだ。アーツ(芸術、歴史、文学)、イングリッシュ(英語)、サイエンス(科学)の3分野から生徒が自分の関心のあるものを選び活動するもので、通常の授業以外にアクティブラーニング、校外体験学習、資格取得などに挑戦していく。
一例を挙げれば、7年生(中1)のフィールド・アーツでは世界遺産についてグループワークで調べて、新しく知ったことなどを発表する。またグループごとに世界遺産ツアーを企画、その中からベストツアーを選んで実際に訪れる校外学習も行うという。
中学生から自分の興味や関心のある分野を掘り下げて学ぶことは、やる気を引き出し、将来の進路選択につながる可能性もある。昨年度、フィールド・アーツで学び、世界遺産検定を受けた同校の中学生は、全国最年少最高得点を獲得し、特別表彰を受けたという。
福島校長は「やりたいことを見つけた生徒は一気にその才能を伸ばします」と目を細める。
また、定評のあるグローバル教育では、英語5技能をバランスよく育み、中学卒業時には英検準2級、CEFR(セファール:欧州言語共通参照枠)ではA2レベルを目指す。昨年はコロナ禍にあり、海外研修は中止が続いたが、TOKYO GLOBAL GATEWAYでの英語体験学習を実施したほか、本年度はネイティブ講師と震災復興、歴史、自然学習を英語オンリーで行う5日程度の研修ツアーを計画するなど、工夫しながら生徒の体験の機会を見いだし続けている。
夢を実現させる
オーダーメードの個別指導
海外進学、医学系、芸術系など多彩な進路を目指す生徒が多いことでも知られる同校。それはオーダーメードの指導がなすものだ。医学部を目指したある生徒は生物で受験をしたが、「生物の授業は教員1人に生徒2人という態勢でした」と福島校長。1人でも希望者がいれば教員が受験講座を開催する。音大や美大への進学希望者には実技試験対策も個別に行っているというきめの細かさだ。また、青山学院大学の系属校となって4年目を迎え、今春は15人が系属校推薦枠を利用し進学を果たしている。同大学の講座を高校生が受講できるなど、高大連携も加速させている。
生徒一人一人を家族のように慈しみ、丁寧に見守る同校。一人一人と真摯に向き合うオーダーメードの個別指導が、幅広い進学先とともに“入学後に学力を伸ばす学校”として高い評価を受けるゆえんだろう。