首都圏で有数の敷地規模を有する神奈川大学附属。ICT教育・STEAM教育・グローバル教育を柱に、先進的な教育に取り組んでいる。昨年度から「総合的な探究の時間」を開始。UPAA制度の導入で海外大学へ進学する生徒も増え、進学結果でも高い評価を得ている。
小林道夫 副校長
昨年度から「総合的な探究の時間」がスタートした。中学3年、高校1年を対象とした週1時間の合同授業で、20以上の多彩な分野のゼミが用意されている。生徒たちは自分の興味・関心のあるゼミを選択、グループをつくって1年間かけ一つのテーマを掘り下げていく。
ゼミは、それぞれの教員が得意分野を担当、歴史や経済、社会問題や数学、体育や情報など授業を発展させるものから、医学や建築、映画やアニメまで多岐にわたる。授業では情報収集に始まって、調査や研究を行い、中間発表のプレゼンテーションを経て、論文作成を行う。
小林道夫副校長は、「グループ内には、学年もクラスも違う生徒たちが集まるので、ICTを駆使してミーティングや活動を行っています。ここでは教員はファシリテーターにすぎず、全て生徒主導で進むのが特徴。生徒たちは、興味を持ったことに対して、自分にどこまで知識があり、どのような考えを持ち、どのような解決策を提案できるのか、試行錯誤しながら取り組んでいきます」と話す。
副校長自身も「PC情報」分野でゼミを担当し、「サイバー攻撃の防衛方法には何があるのだろうか?」「Pythonはプログラミング教育に適しているだろうか?」などのリサーチクエスチョンを設定。自分たちの関心のあるテーマだけに、生徒の自発的な活動が目に付いたという。
「興味のあることに主体的に取り組む経験は、その後の進路選択や卒業後の活動にも良い影響を与えてくれるはずです」と小林副校長は、「総合的な探究の時間」の手応えを語る。
UPAAの制度を利用して
海外大学に進学
神奈川大附属は、先進的な教育に挑戦する学校として知られる。1人1台タブレットPC必携のICT教育に早くから取り組み、授業や家庭学習ではICT活用による効率的、創造的な学びを実現している。また神奈川大学との高大連携プログラムも充実、理数教科やリベラルアーツを統合的に学習するSTEAM教育が浸透している。また世界の中で生きる力を育むグローバル教育にも力を入れ、少人数制英会話授業、英語キャンプやオンライン英会話、ホームステイ語学研修や海外研修プログラムなどを展開している。
2018年からは海外協定大学推薦制度(UPAA)を導入、この制度は、成績と校長の推薦によって提携校の合否審査を行うため、国内大学向けの受験勉強を妨げることなくグローバルな進路選択ができる。「海外進学への道を広げてくれる良い制度で、今後利用する生徒は増えると思います」と小林副校長。22年度の現役合格実績では、国公立大学に東大3人を含めて65人、早慶上理は117人、海外大学4人という結果を出した。豊かな自然に囲まれた横浜市緑区のキャンパスで、生徒たちは充実した6年間を過ごしている。