「STEAM」と「グローバル」の両輪が特色の聖徳学園中学・高等学校。ICTを活用して「自学自習」を定着させ、入学後に学力を伸ばす学校としても定評がある。2024年度から高校にデータサイエンスコースを開設、新たなステージへと上がる準備を進めている。
伊藤正徳 校長
ICTを駆使したSTEAM教育で、教科横断型の学習を展開している同校だが、2024年度からは、高校にデータサイエンスコースを新設する方針を打ち出した。すでにデータサイエンスが専門の教員を採用、開設の準備を進めている。
「複雑化した社会、多様性を尊重する社会では、膨大なデータに基づいて事業や施策の方向性を客観的に決めることがますます重要になってきています。本校がこれまで推進してきたSTEAM教育やグローバル教育を支えるものとしても、データは深く関わっています」と、伊藤正徳校長はその意義を語る。
10年ほど前、米国西海岸の名門大学を訪れた際、データを駆使して研究や事業に反映する風景を目の当たりにし、これからはデータサイエンスが社会のあらゆる場面で重要になってくると実感したという。「直感的な判断や精神論で終わらせず、自分でデータを集め、検証し、エビデンスの裏付けを基に行動に移していくという力を、生徒の新たなスキルとして根付かせたいと思っています」。
国際的な視野と表現力で
行動力を引き出す
同校では、中学から段階的に、国際的な視野を持ち、創造的な手法で課題解決に取り組む力を養う独自のプログラムを構築している。
中1、中2の「総合的な学習の時間」に「STEAM」の授業を確保。特にArtsを重視し、ICTを駆使して相手に届く表現、発信する創造力を引き出し、行動につなげる学びに重点を置いている。中学生は自分たちで地域貢献プロジェクトに取り組む。例えば三鷹市の井の頭公園の不法投棄防止プロジェクトなどで啓発活動を展開している。
高校ではグローバル教育の集大成として「SDGs」の授業を設け、途上国での課題解決へのアクションにつなげる実践をしている。22年に及ぶ内戦が続いたスーダンの人たちに中古の靴を集めて送った生徒もいた。「実際にアクションを起こすことで、見えてくるものはたくさんありますし、もちろん失敗もありますが、そこから学ぶもの、思いもよらなかった新たなつながりも生まれてきます」。社会の現実に触れる大切さを伊藤校長は語る。
入学後に生徒の学力を伸ばし、難関校に合格させる手厚い環境も整っている。この春も国公立23人、早慶上理・GMARCHの難関私大に計129人が合格。土台となるのが「自学自習」だ。ICTを活用して、学力以外の観点からも生徒の自己肯定感を高め、意欲を引き出していく。「ICTが当たり前の環境で、生徒が自分で自分の学びをつくり上げられるようになってきました。進学結果にも反映されていると感じます」と伊藤校長。広い視野と創造性を育み、主体的な学びにつなげてきた手応えを、データサイエンスを活用した学習の強化で、さらに確かなものにしていきたいと意気込む。