2014年に男女共学化を図り、難関大学を目指す進学校へとかじを切った安田学園中学校高等学校。来年、創立100周年を迎える。着実な進学実績とともに、教育理念である「自学創造」の下、自ら考え学び、創造的学力・人間力を身に付け、グローバル社会に貢献する人材を育成し続けている。
稲村隆雄校長
安田学園が進学校として新たなスタートを切ってはや9年、今春その第3期生が卒業を迎えた。年々着実に成果を上げ続ける同校だが、今年度は、東大、一橋大、東京外語大各3人を筆頭に国公立大49人、早慶上理108人、GMARCHレベル206人の現役合格者を輩出。進学実績をさらに大きく伸ばしている。
その躍進の要因を稲村隆雄校長は、「昨年度から、6年間を2年ごと三つのステージに区切るステージ制を導入し、成長段階に応じたプログラムにしたことが大きい」と語る。また、ステージごとに主幹と主任教員を配置。さらに学年持ち上がりの教員に加えて、基礎学力の育成と入試対応、その橋渡しの期間に特化した教員を置くなど、各ステージの指導体制を強固なものとし、より細かな対応を可能にした。また、進路指導部を廃止し、ステージ3(高2~3)は主幹・主任の2人を中心に全職員体制で多角的な視点からその生徒に何がベストなのかを探っていく。「高3では志望大学別にクラスを細分化させ、同じ目標を持つ生徒同士が切磋琢磨しながら共に学べる環境を整えています」と稲村校長。
同校がうたう「学校完結型の学習環境」も大きな要因の一つと言う。「基礎学力を固め、進学力を伸ばすためのシステムは学校側で全て準備するので、最大限に利用してほしい」とも。
難関大学の受験経験を持つ教員の採用を積極的に行ったことも功を奏した。例えば東大卒は現在5人が在籍する。「難関大学受験を実際に経験した教員からの、さまざまなアドバイスは的確で、生徒の心にも強く響き、効果的でした」(稲村校長)。
創立100周年に向けて
新たな改革を実行
来年100周年を迎えるに当たり、これまでの総合コースをなくし、最難関国立大を目指す先進コースへの一本化を図る。これは、「10年後には国公立大合格者5割」という目標実現に向けての大きな一歩だ。「国公立大への進学者の割合を上げることが、学校全体のレベルアップにつながりますので、5教科を満遍なく学ばせる方針です」(稲村校長)。
「探究プログラム」に注力するのも伝統だ。根拠と論理の意識を高め、思考力・表現力・創造力を育み生徒の可能性を広げる。中1~3ではグループ探究、高1~2では個人探究へと発展させ論文執筆にも取り組む。
この他部活動も盛んで、クラブ加入率※は男子99%、女子97%で掛け持ち入部も多い。今春の東大合格者の一人は、高3の6月まで部活に取り組む姿があったという。勉強も部活もしっかりやるのが安田学園らしさともいえるのだ。本年度のスローガンは、「Progress~更なる飛躍へ~」。生徒の可能性を最大限に引き出すさまざまな仕掛けと改革は、来年創立100周年を迎える同校を、さらなる高みへと導くに違いない。
※2020年4月調べ