新カリキュラム「SHOWA NEXT」が7年目を迎えた昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校。三つのコースでは、生徒の適性や関心を伸ばす仕組みが設けられている。あらゆる場面で生徒の挑戦を後押しする校風も定着し、改革の成果が着実に表れている。
粕谷直彦 中学校教頭
学校改革の一環で導入した新教育カリキュラム「SHOWA NEXT」は、7年目を迎え、1期生がこの春卒業した。「得意を伸ばす」のコンセプトで3コースを設置。海外進学も見据えた「グローバル留学」、自己実現を目指し幅広く学ぶ「本科」、理数系に特化した「スーパーサイエンス(SS)」がある。
粕谷直彦・中学校教頭は「カリキュラムを通じ、生徒が『今までにない自分』にチャレンジする姿勢を育む環境を整えてきました」と語る。そのために社会とつながるさまざまな機会を設けてきた。例えば本科コースの探究学習だ。高校1、2年生が大学や企業と連携し、ジェンダーや途上国など国際視点のテーマを協働で学び、調査で海外の現地にも赴いた。
自身も同校の卒業生である濱田順子教諭は数年前、研究の一環で、カンボジアで活動する日本人起業家を生徒と共に訪ねた。見聞きしたものや訪問先への質問を夜遅くまで話し合う生徒の姿に「じかに感じ取った学びは、調べて学ぶ以上のものがあると感じました。世界に目を向けるきっかけにもなっています」と語る。
こうした活動を「多様性を理解し、違いを乗り越え、協働して新しい価値を生み出すための訓練」と粕谷教頭。「先の見えない時代、正解のない問いに向き合い、失敗しても自ら立ち上がる強さを身に付けてほしいのです」。
新設のSSコースは、初年度から探究心の強い生徒が集まったという。「日帰り研修で生徒自ら研究用にダンゴムシを集め、帰りのバスではダンゴムシの絵をいかにうまく描けるかで盛り上がっていました」(粕谷教頭)。
学校生活の中でチャレンジをたたえる文化が根付き、今では物おじしない生徒のエピソードには事欠かなくなった。この間、受験者数、入試合格点共に上昇基調が続いてきた。
隣接のインター校から
「日常の多様性」の影響も
同校の強みは、そのグローバルな環境も挙げられる。世界22の提携・協力校の他、敷地内にインターナショナルスクールやテンプル大学ジャパンキャンパスが隣接。海外にルーツを持つ生徒が行き交う場所で6年を過ごす。
グラウンドなどを共有し、授業に参加し合ったり、一緒にボランティア活動をしたりしてきた。粕谷教頭は「隣の異文化を毎日見ているようなもの。こうした『日常の多様性』がもたらす効果は、“じわり”と表れているはずです」と期待する。
それまでの落ち着いた「伝統校」のイメージから、挑戦を後押しする「先進校」に変わった同校。一連の学校改革も建学の精神「世の光となろう」につながるという。「時代に即したものに変わりながらも本質は変えない不易流行の姿勢から、相乗効果が生まれると思うのです」。
伝統に縛られない、しなやかな「昭和」がここにある。