東京・自由が丘にある伝統のミッション女子校。朝は礼拝からスタートし終礼で終わる。実践的体験学習を重視し、高大連携も積極的に推進。自分をかけがえのない存在として捉え、他者との違いを受け入れ、自らの可能性と使命を発見することを教育方針としている。
安藤理恵子学院長
玉川聖学院は、1950年に創立されたプロテスタント系ミッションスクール。「本校は、聖書に基づいた人格教育を、女子校という安全で特別な環境の中で実践している学校です。生徒たちは、聖書が示す世界観を通して自分と向き合い、世界の課題に向き合いながら、自分の使命を発見していきます」と安藤理恵子学院長は話す。
学校は、安心できる関係性の中で、友情と信頼を学び育てる場でもある。その象徴的なエピソードとして、安藤学院長は今春の卒業生代表による“感謝の言葉”を挙げる。
「その言葉はとても率直で、コロナ禍の中で過ごした高校時代を、我慢を強いられた冬の季節だったと表現し、“失望を味わい、努力は報われないと嘆き、人生までもが否定されたような気がしたこともありました”と話したのです。最後は感謝の言葉で終わったのですが、卒業式のような場で、本当の気持ちを表現するには、相手への信頼感がなければできません。学校生活を通してその信頼感を培ってくれたのだと思い、私たちはうれしく思ったのです」
玉川聖学院では、毎日終礼の時間に賛美歌を歌い、クラスメートの前で自分の心を言葉にして伝えることを実践している。思春期に自分を隠さないで本音が受け入れられる経験をすることはとても大きな財産になる、と安藤学院長は言う。それは自己肯定感を育み、社会に出たときに自分を支えてくれる強みになると考えるからだ。
東京女子大学との
高大連携が拡大
同校では、心と体で学ぶ直接的な体験を大切にしており、独自の「TAP(玉聖アクティブプログラム)」を高等部で実施している。生徒たちは、地球共生、人間社会、サイエンス、芸術・メディア、言語コミュニケーションという五つのテーマの中から関心のあるものを選択。多彩な課題プログラムに参加し、主体的に探究する喜びを深め、進路選択にも役立てていく。
高大連携プログラムにも力を入れている。2023年度入試から東京女子大学との関係が深まり、学校推薦型選抜(高大連携型)という形で、現代教養学部の全ての学科・専攻から最大25人の推薦枠を得た。内定者に対する入学前教育なども行っていく予定だ。もともと同校には、東京近辺のミッション系大学に100人近くの推薦枠など、豊富な指定校推薦枠があり例年8割以上が推薦・総合型で進学する。一方で、実力養成のための特別プログラム「SAC(スーパーアドバンストコース)」を設置、難関大学を目指す生徒たちも支援している。
「昨今のコロナ禍やウクライナ情勢のニュースに影響を受ける感受性の強い生徒もいます。そんな生徒たちと共に、“恐れるな、わたしはあなたとともにいる”という聖書の言葉を受け取りながら、安心感と勇気を分かち合っていきたいと考えています」(安藤学院長)