創立以来、「健康・真面目・努力」の校訓に基づき、心の教育と体験教育に力を入れている。昨年度は地元の府中市と協働協定を締結、SDGs推進校として地域の発展にも貢献する。“見える学力”と“見えない学力”を融合することで、21世紀に必要な人材の育成に取り組んでいる。
福本眞也校長
明星は、2023年に創立100周年を迎える。それを機に新しい教育目標、「自分の未来をデザインし共創していける人の育成」を制定した。
「自分の未来をデザインするというのは、将来どんな生き方をするか、そのために何を学び、何を身に付けていくのか、自分の未来を思い描き、それに向かって努力できる人間に成長することです。そして共創とは、考え方が違う多様な立場の人たちと対話しながら、一緒に新しい価値を生み出していくという意味です。これらは、21世紀という不確実で多様化の時代を生きていくに当たって一番大切な考え方です」と語る福本眞也校長。
この教育目標の下、明星では「心の教育」と「体験教育」を大切に考えている。心と向き合うことで人間は成長し、学んだことを社会や人のために役立たせることが重要だと考えるからだ。
その体験教育の一環として、SDGsへの取り組みがある。SDGs推進校である明星は、22年3月に地元府中市との地域活性化に関する協働協定を締結。22年度に府中市が実施する約20の事業を中高の年間授業カリキュラムに組み込み、市と連携しながらイベント運営補助や、環境SDGsに関するワークショップに取り組むことになった。
福本校長は、「これまで明星を育てていただいた府中市と多摩地区の地域発展に、SDGs活動で貢献したいと考えたのです。生徒たちにとっては、自分たちの身近なところからSDGsを考える良い“体験教育”になると考えています」と話す。連携事業には、例えば府中市民桜まつりでの催し物の運営や、参議院議員選挙の投票啓発活動への参加やボッチャの競技を体験する市民へのルール説明などのさまざまな支援を行っている。
体験学習を通し
“見えない学力”を養う
体験教育では、修学旅行に代わる「研修旅行」を実施している。事前学習、訪問先での活動、事後学習を行う。昨年度は、クラスごとに日本各地に出掛け、地方都市が抱える課題を見つけその解決策を考えた。「SDGsの活動や研修旅行を通して、外の世界への興味・関心が芽生え、社会性を身に付け、物事を深く考えるようになります。学習面では、知能や技能を中心とした“見える学力”を養いますが、体験教育では、多様な人と協働することで“見えない学力”を養うことができます。それは、これからの時代を生きる生徒たちにとって必要な学力です」(福本校長)。
コース編成は、高校で本科コースと明星グローバルサイエンス(MGS)コース、スーパー明星グローバルサイエンス(SMGS)コースの三つに分かれる。進路指導に関しては17人の進路アドバイザーがサポート。近年は、国公立大や早慶上理、GMARCHへの合格実績が伸びている。自然豊かな広大なキャンパスも魅力で、「温厚で素直な」(福本校長)生徒が集う。