創立135年を迎える女子の伝統校。校訓は「誠のほかに道なし」。何事にも誠実に向き合い、人として充実した日々を過ごすという意味だ。社会を生き抜く“盾”となる英語とICTをベースに、探究学習を通して“矛”となる生徒一人一人の個性や能力を伸ばす教育を実践している。
塩見牧雄校長
三輪田学園では、社会を生き抜く力として、英語とICTを身に付けることを大切にしている。「未来を生き抜くためには、盾と矛が必要であり、英語とICTは盾となって自分を助けてくれます。では、人生を切り開くための矛は何か。それは生徒一人一人の個性や能力だと思います」。塩見牧雄校長はそう話す。
同校では従来から英検利用入試を設けるなど、英語教育には力を入れている。海外進学も視野に入れたeラーニングシステム「College Pathway」を導入、国内外の語学研修も充実しており、高校卒業までに生徒の6割以上が英検2級以上を取得する。
ICTに関しては、生徒全員が自分専用のタブレットを所有、情報科では、パソコンやソフトウエアの基本的な知識・操作の習得の他、Python(パイソン)でのプログラミング教育も行っている。
学校は未来から
子どもを預かっている
一方、矛となる個性や能力を伸ばすために、中学で実施されているのが「MIWADA-HUB」と呼ばれる探究学習だ。生徒は九つのテーマから興味のある分野を選び、情報収集、整理・分析、発表を行いながら、主体的な深い学びを実践していく。
「昨年度は、あるグループが、食べ物の細胞に含まれるDNA量を調べる実験と検証を繰り返して、細胞が小さい方が核の割合が高くなりDNA量が多くなる、という結論を導き出しました。すると同じ内容が、大学入学共通テストの生物基礎の問題として出されたのです。まさに自分たちと社会がつながった瞬間で、とても驚きました」と塩見校長。
そして今年度から高校でも探究学習「MIWADA-LAB」がスタートした。教科の枠を超えて生徒自身が主体的に課題を設定、外部のコンテストなどにも積極的に応募することで、表現力と発信力も育成していく。これは同時に自分の将来を見据えた探究学習でもあり、大学の総合型選抜に活用していくという狙いもある。これらの探究学習のベースとなるのが、豊かな表現力と考察力。三輪田は「読書の三輪田」と称されるほど、長年読書教育に情熱を注いできた。さらに道徳・ホームルームでは「哲学対話」を実施。生徒たちが自主的にテーマを持ち寄ってディスカッションを行う。英語やICTのスキルを学んでも、重要なのはそれを使って表現する中身だ。その中身を豊かにする教育にも力を入れている。
塩見校長は、学校の役割として「三つの信託」を挙げる。「学校は、保護者からの信託、社会からの信託、未来からの信託に応えていく義務があると考えています。学校は未来から子どもたちの大切な6年間をお預かりしている。その6年間でしっかり教育を施し、社会に送り出さなければならない。われわれ三輪田の教員は、常にその視点を持って教育に携わっています」。