どんな生徒も「居場所」が持てる、穏やかな校風に定評がある。多彩なクラブ活動や体験型の行事、6年間の専任教員制を通じ、生徒は自信や主体性を育み、教員との信頼関係を築いていく。きめ細かな学習指導で、国公立や難関私立の大学合格実績も順調に伸びている。
平野 豊 校長
おしゃべりしながら校門を出る生徒。部活に励む生徒。校内はどこか穏やかさが漂う。「この学校には、どの生徒にもそれぞれの居場所がある。だから自分らしさを出しやすいのだと思います」と平野豊校長は語る。
居場所の多様さは40近くものクラブ・同好会に象徴されている。模型部、ダーツ部、琉球三線同好会などもある。他に同じ志の生徒が集まれば「サークル」も創設できる。昨年度は「折り紙サークル」が誕生。「折り紙の動画を見ましたが、手の込んだもので、驚きました」(平野校長)。
マケドニア語の自主学習グループも生まれた。昨年6月に同国大使館を表敬訪問、12月にはマケドニア大使が同校を訪問したという。「生徒が教員を巻き込み、ここまで広がりました」(平野校長)。
興味・関心に端を発した主体的な活動が相次いで生まれるのは、生徒の思いに丁寧に伴走する教員の存在が大きい。その土壌は、高い専任教員率による。
各学年6組のクラス担任以外に専任教員5人が付き、授業や補習、行事など学校生活全般で手厚くサポートする。「6年間ほぼ同じ専任教員が受け持つので家族に近い関係になります。とはいえ手取り足取りではなく、生徒が自主的に取り組めるよう『手は放し目は離さず』を大事にしています」と平野校長。
自然体験や農工芸体験、西日本探訪などの行事でも程よい距離感は同様だ。生徒は授業だけでは得られない感動や達成感を得る「智力の探究」を重ねていく。一連の取り組みに、教育目標の一つ「人を育てる指導」が具現化されている。
きめ細かな学習支援で
大学合格実績も伸長
もう一つの教育目標「大学へ進学させるための指導」の成果は、ここ数年の難関大学の合格実績に確実に表れている。今春、国公立大学の現役合格は、急増した昨年と同じく40人台を安定維持。難関の早慶上理は88人から142人と1.6倍となった。
中高6年間を2年ずつ「基礎学力徹底期」「進路決定・学力伸長発展期」「総仕上げ・進路達成期」に分け、成長に応じた指導に重点を置く。中学3年からは成績上位の「選抜クラス」を設けている。生徒の理解度に応じた指名補習の他、放課後や長期休暇中の講習など、きめ細かな対応で生徒の「智力の探究」を後押しする。
今年度からは生徒1人1台のタブレットが行き渡り、ICT学習も増えた。「生徒に何が必要なのか、時間をかけて議論を重ねて導入を判断しました」と平野校長。
安易に流行に乗らないこだわりと、いち早く算数1科目のみの「算数午後入試」の導入や、洗濯ができる制服への切り替えなど先駆性も持ち合わせる。独自の判断軸で本質を見極める姿勢は教育理念「見えるものの奥にある、見えないものを見つめよう」にも通じている。