校歌を作詞したのは歌人の与謝野晶子。約120年以上の歴史を持つ伝統の女子校であり、入学後に学力を伸ばす学校、キャリア教育に力を入れる学校としても定評がある。今春は学校初の東大合格者も誕生、今年度から高校のコースが再編成され、新たなステージに向かっている。
江藤 健教頭
1909年の創立以来、「機に応じて活動できる女性の育成」を目指してきた。近年は数値化できる「認知型学力」と、数値化しにくい「非認知型智力」を身に付けることを目標としている。
2022年には高校のコースの再編成を行い、特徴を際立たせた3コース制となった。文理バランスの良いSTEAM教育を通じてリベラルアーツの力を高める「先進コース」、多くの探究活動やPBL型学習を通して課題解決のスキルや表現力を高める「探究コース」、豊富な英語授業を通じて英語力を高め、世界的な視野を広げる「国際コース」である。
今春、その「国際コース」(前身の国際科)から同校初の東大合格者が誕生した。
高校から入学した生徒で、高校1年の冬から国際コースの生徒に必須の留学を1年間経験、帰国後は同校の「キャリアサポーター制度」の支援を受けて、推薦による合格を果たした。
「キャリアサポーター制度というのは、総合型選抜や学校推薦型選抜を希望する生徒のために、担任とは別に教員が付いて、小論文指導や面接練習などの個別対応を行うもの。彼女の場合は、東大を目指すということで複数の教員がサポート。それも大きな助けとなって見事に文科三類(教育学部)の合格を勝ち取りました」と江藤健教頭。
“思考を文字化する”機会を
多く設けている
中村では、学問の土台となる日本語力を高めるため、読書指導やクリティカルシンキングの授業、作文や小論文、教科のレポートや課題など、“思考を文字化する”機会を数多く設けている。最近では6年間で200本を優に超える表現を行うほか、個人発表やグループ学習を通じて知識をアウトプットする機会も多い。東大合格は、「本人の能力はもちろんですが、そうした中村での学びがバランスよく融合したのではないかと思います」と江藤教頭は言う。
同校の進路進学指導の基本は、「本人が希望する進路を全力でサポートすること」。今後も東大志望か否かにかかわらず、生徒たちの「30歳からの自分」というキャリアデザインを支援していく考えだ。
上記の3コースでは、探究活動を実践する「探究コース」の人気も高い。企業が提供する探究プログラムに参加して、社会的なミッションに取り組むなど常に活動発表の場が設けられるので、表現力や発信力が自然に身に付いていく強みがある。最近では、探究学習の祭典「クエストカップ全国大会」に2チームが出場を果たすなど、活躍の場を広げている。
「フレンドリーな生徒が多い本校ですが、しなやかさの中にも根気強さ、くじけない強さを持つ生徒たちも多いです」と語る江藤教頭。小規模な学校ながら入学後の学力の伸長に定評がある同校、卒業後の人生も見据えて、人生を豊かにできる女性の育成を図っている。