世田谷区成城の住宅地に立地する東京都市大付属。主体的な学びを重視し、完全中高一貫校の強みを生かして、志望大学への現役合格をサポートする。「公正・自由・自治」という建学の精神の下、教員と生徒の間には信頼関係が築かれ、家庭的で穏やかな校風を紡いでいる。
堤 英次教頭
2022年度、国公立大学に現役で73人の合格者を出した。大学別では東大が一番多く11人(既卒含めて12人)。また国公立・私大を含めた医学部医学科合格者は29人を数えた。
「今年東大に進学した生徒たちは、中学入試の段階では、まさか自分が東大に合格するとは考えていなかったと思います。ですが学校生活を通じて自信を持ち、高みを目指して頑張ろうという気持ちになったのです。その根底には、教員と生徒の強い信頼関係があります」
そう話すのは、堤英次教頭だ。
昨年度は、東大を志望する生徒を理系・文系合わせて1クラスに集め、皆で最後までやり切ろうというムードを醸成した。「大きかったのは、1月の共通テスト終了後の、2次試験に向けた添削指導です。過去問を解いた生徒が先生に添削を頼む。先生方は、毎晩のように夜遅くまで答案に朱字を入れて返却していました。今回はその成果が出たのだと思います」。
“自ら考え、探究し、表現する”
主体的な学び
都市大付属では、教育方針に基づき「開拓力」「成長力」「国際力」の「3つの力」の育成を目指している。「開拓力」とは、“自ら考え、探究し、表現する”主体的な学びのこと。中学3年間で約60テーマの科学実験や、プレゼン力を磨く弁論大会、思考力と記述力を強化する“中期修了論文”の作成などを通じて、学ぶ喜びを体得していく。
「成長力」とは、主体的に自分の進路を決定できる能力や、しっかりとした職業観・人生観を身に付けること。そのために、中学3年で1年間のキャリア・スタディが組まれている。
「国際力」では、コミュニケーション力を高めグローバル社会で生き抜くために、ネイティブスピーカーによる授業や、多様な海外研修プログラムを用意している。都市大付属は帰国生の受け入れが多く、各学年とも約6人に1人が帰国生。異文化体験を持つクラスメートから刺激を受けられる環境にあり、生徒たちは自然に広い視野を持つことができる。
特に重視しているのは、前期(中1・中2)の段階で学習習慣を身に付け、自己肯定感を持って主体的に活動できるようになること。その土台づくりのため、教員たちは日々の授業の中で、生徒たちが自分で考え自分の言葉で表現することを強く意識しているという。
「本校はとても家庭的な学校だと思います。面談の回数も多く、成績が悪くても決して見放さずに、とことん面倒を見ます。クラブ活動の上下関係も穏やかで、先輩後輩、生徒同士の仲が良く、学校生活のルールも最小限のものしかありません。生徒たちは、その環境の中で安心しながら、伸び伸びと生活しています」と堤教頭。
来年度から2月1日午前入試に参入する。第1志望の生徒を多く受け入れ、学校をより活性化させるのが狙いだ。