2020年に創立80周年を迎えた北鎌倉女子学園は、今「ジエシカ」と名付けられた抜本的な学校改革を進めている。教育方針は、心の教育とICTや英語の先進スキルを身に付けるハイブリッド教育。実績のある教育者たちが授業に参加しているのも魅力の一つだ。
佐野朗子校長
「のびやかな自立した女性を育む」を教育理念として、新しい学園に生まれ変わっている北鎌倉女子。その核となるのが、元駐米大使の藤崎一郎理事長が推進する「ジエシカ」改革だ。
「ジエシカ」とは、自主性の尊重と受験に強い授業の「ジ」、英語教育の抜本的強化の「エ」、施設・設備の一新の「シ」、鎌倉に密着した体験学習の「カ」を表現した標語で、教員たちはチームとなって生徒に寄り添い、スピード感を持ってその改革を着実に進めている。
教育方針は、心とスキルの両面を育てるハイブリッド教育。心の面では、礼法の授業や、能や歌舞伎の鑑賞などを通して日本の精神文化を学び、スキルの面では、どんな仕事に就く場合でも必要となる英語力とICTスキルの基礎を身に付ける。ICT教育に関しては、学園全体でiPadの有効活用が実現している。
「本校の特徴である“先進的な学びの時間”では、生徒主体の“自由な発想×テクノロジー”を軸に、ICT教育を先導している田邊則彦理事長補佐(前ドルトン東京学園副校長)が、3Dプリンターやプロジェクションマッピングなどの新しいテクノロジーを導入、柳沢幸雄学園長(前開成中学校・高等学校校長)の能動学習と融合して、生徒の意欲や創造力、コミュニケーション力を高める取り組みを行っています」と、佐野朗子校長は説明する。
英語教育では、ネイティブ教員が、授業だけでなく放課後にイングリッシュルームに常駐し、英会話やゲーム、英語面接の練習などを行う。放課後や土曜日の過ごし方も、生徒が興味・関心の幅を広げ、ニーズに合わせてデザインできるような環境を整えている。各種部活や、音楽棟のレッスン室での練習、ホールでの定期発表会の開催など、教育環境を有効に活用しながら自主性を養っている。
上位大学へチャレンジする体制を強化
今年度から、高校の普通コースを「先進コース」に改めた。ここでは、基礎的な知識の定着を図る従来型授業と、グループディスカッションなどの協働学習を融合し、ICTを活用して一人一人に対応するハイブリッド教育を実践している。
「現在は学校推薦型選抜でMARCHを目指す生徒が多い状況ですが、今後は総合型選抜や一般入試で上位大学へチャレンジする体制を強化します。柳沢学園長の小論文指導や、大学生によるオンライン受験指導など新たな対策の他、生徒のロールモデルとなる著名な女性による講話や、地域や企業とのコラボレーション授業なども実施していく予定です。知的好奇心を刺激しながら、個別最適化された学びで、生徒の夢へのチャレンジを後押しします」と佐野校長。伝統文化を学び、世界を知って、未来を生きる力を付ける。それが「のびやかな自立した女性」を目指す、新しい北鎌倉女子学園の姿だ。