「自主自律」の建学の精神と「愛情・勤勉・聡明」の三つの生活信条を掲げ、学校改革2年目を迎えた東京家政大学附属女子中学校・高等学校。インターナショナルスタンダードの教育を積極的に導入して、社会や世界に貢献し、輝き続ける「KASEI WOMEN」を育成する。
大澤 力中高統括責任者 高校校長(学校教育学博士)
昨年度の就任時より「『KASEI』から『SEKAI』へ」を合言葉に、さまざまな学校改革に着手している大澤力校長。本年度の中学入試では入学者が昨年の2割増、高校入試では単願者を増やし、入学者も昨年の1割の増加を見せた。
改革初年度を振り返り大澤校長は、「教育において、幼児教育から大学・大学院の高等教育まで、それぞれに大切にすべきものがあり、それらがしっかりとつながることの大切さを改めて実感しました」と語る。中でも中学・高校の中等教育がとても大切であることを肌で感じたという。「自分の一生を方向付ける人間性、生きていくために必要な基礎学力、そして価値観・世界観を培うのが中等教育です。そこから、自分はどのように次の時代に貢献できるのか、という問いに真摯に向き合うことで、自分自身の存在価値を認め、自覚する時期だと考えています」。
今後も附属校の強みを生かし、大学の高い専門性やメディア情報技術、国際交流を活用したさらなる高大連携を、スピード感を持って強化していく。これは長年幼児教育に携わり、大学院研究科長、大学教授を歴任してきた大澤校長ならではの手腕といえる。
さらにICT拠点、同学園史や生活文化などの資料展示をする博物館などが入る140周年記念棟も起工し、同校の学びの環境はさらなる充実を遂げていく。
内部進学併願制度の導入で
難関大学挑戦も可能に
インターナショナルスタンダードを目指す同校は、国際バカロレア(IB)中等教育プログラム(MYP)認定候補校でもある。IBのプログラムでは、世界各地で学ぶ人々との違いを理解し認め合い、積極的に、そして共感する心を持って生涯にわたり学び続けるよう働き掛けている。「これは本校の教育理念、生活信条と親和性が高い。豊かな人間性を備え、社会をより豊かにすることに貢献する女性を育てることが本校の使命でもあります」と大澤校長。
また、IBのディプロマプログラム(16~19歳)の修了は海外大学への入学資格となり、これは海外進学も視野に入れた生徒の大きな武器になる。
さらに昨年度より、内部進学の併願制を導入し、東京家政大への進学が保証されたまま他大学の受験を可能とした。これにより、難関大学へ挑戦しやすい環境が整い、今春は東京学芸大、国立看護大、千葉大などへの進学者も輩出している。
141年の歴史と伝統の教育の下、次代を切り開くためのスキルを身に付け、時代に即した新しい価値観や世界観を創造していく「KASEIビジョン」を掲げる同校。本年度のキーワードは〝挑戦〟だ。大澤校長は「中学・高校を核に、幼稚園から大学、大学院までを連携させ全てを世界レベルの教育へと引き上げていきます」と、未来への〝挑戦〟を力強く語る。