「全寮制」(高校は通学も可)、「中高一貫」「全人英才教育」を三大特色とし、1978年に開校。「知・技・心」を校訓に掲げ、独自の理想教育で、創立以来、医学部・歯学部をはじめ、近年では国公立大学や難関私立大学への進学実績を上げている。
尾上純一校長
秀明中学校・高等学校は、創立者川島寛士先生の教育理念に基づき開校された首都圏唯一の全寮制中高一貫校だ。寮ではテレビやゲームは禁止、スマートフォンやタブレットも使用できない。規則正しい生活の中で勉強やクラブ活動に打ち込み、自由時間には友達との会話を楽しむという本来の学生らしい生活が営まれている。
尾上純一校長は寮生活のメリットをこう語る。
「寮生活は望ましい学習習慣・生活習慣を身に付け、豊かな人間性を育むのに最適な教育環境です。寮なら通学時間を学習時間に充てることができ、塾に通って勉強するという『ムリ・ムダ』がありません。また、洗濯や整理整頓も自分でやらなければならず、親に対する感謝の心も芽生えます」
寮では月曜日から木曜日までの4日間、3時間の夜間学習を行っている。そこで昼間の授業内容の復習や問題演習、英検対策、進んでいる生徒や高校3年生は入試問題演習にも取り組んでいる。「生徒の天性を最大限に引き出し、先伸びする教育」で、学校の勉強だけで医学部や難関国立大学に合格できる学力を身に付けることを目指している。
コロナ禍では感染予防対策を徹底的に施しながら、寮生活と学びを継続してきた。全ての学年を1人部屋とし、食堂も個人ごとの指定席にしてアクリル板を設置、食事中は「黙食」を推奨している。だが、寮生活は友人とコミュニケーションを取り、切磋琢磨することを主旨としているため、感染が収まれば中学は2人部屋に戻すことも考えていくという。
卒業生が、寮生活の良さを実感しているため、同校に自分の子どもを送り出すケースが多い。昨今は入学者の約6人に1人が卒業生の子女だ。また、高校からの入学者および大規模な中高一貫校からの編入者が増えている。少人数制ときめ細かい指導、教育理念が評価されている証しだろう。
医歯学部以外の進学先を選ぶ生徒が増える傾向
2021年度からは生徒へのアンケートを基に女子の制服にスラックスとネクタイを追加し、登下校時や式典で着用できるようになった。また、今年4月からダンス部が新設された。教員と生徒の間に信頼関係が築かれており、生徒の声に耳を傾けながら、新しいものを取り入れていく校風なのだ。
寮生活が教育の基盤であることは不変だが、医学部以外の進学先を選ぶトップクラスの生徒が増えてきたという。理工系では、東大、筑波大、弘前大、慶應義塾大など。文系では、北海道大、東京外語大、早稲田大、国際基督教大などに現役で合格している。
これまでも卒業生は医師・歯科医師はもとより、国家公務員、弁護士、公認会計士、企業経営者など、多彩な分野で活躍しているが、今後は活躍のフィールドがさらに広がるに違いない。