共栄学園の歴史は、昭和13年に小さな裁縫女学校が創設されたことに始まる。以来、中学校の併設や男女共学化などの改革を経て、学業と部活動を両立する文武両道の一貫校へと発展を遂げた。リスニング、スピーキングを強化した英語教育や先駆的なICT教育に特色を持つ。
越間(こしま)秀男 中学教頭
共栄学園の創立者による「至誠一貫」という言葉が、同校の建学の礎となっている。いかに困難な時代にあっても、至誠(至高の誠実さ)の心を一生貫くという意味である。
「その言葉通り、本校の生徒たちには、目の前にある課題にしっかりと立ち向かい、困難があっても諦めずに頑張れる人間になってほしい」と、越間秀男中学教頭は話す。
同校の特色の一つは英語教育にある。基本的な英文法や語彙力を身に付けた上で、リスニングやスピーキングを重視。中学3年では英語の授業に、フィリピン・セブ島の講師によるオンライン英会話を導入している。希望者には放課後もレッスンを受けられる仕組みになっている。高校の特進選抜クラスでは、通常の英文読解ではなく、長文をリスニングして要点をまとめる授業を行っている。
英語力を向上させる取り組みとして、中2全員を対象とした2泊3日の体験型英語学習プログラム「K-sep(ケーセップ)」もある。少人数制で分けられた各グループに1人のネイティブスピーカーが付き、英語漬けの環境を体験する。「リスニングやスピーキングというのは、やればやるほど伸びていきます。大学入学共通テスト対策はもとより、実社会に出てからの英語の活用を考えて、英語によるコミュニケーション力を鍛えているのです」(越間教頭)。
もう一つの特色はICT教育に力を入れていることだ。2022年度から中高の全学年でiPadを用いた授業を実施。電子黒板を使った授業では、生徒たちは手元のタブレットで自分で手を動かして授業を受けることができる。教員は生徒の進行具合をチェックしながら進められるので、一人一人の理解度を把握しつつ授業を行える。
また、Classiや、映像教材のスタディサプリを導入して、授業と家庭学習を融合、不得意科目の克服を図りながら予習・復習の効率化を実現している。
全国レベルの部活動が
刺激を与えてくれる
共栄学園の教育理念は文武両道であり、部活動も盛んだ。
「部活動に力を注いだ受験生が、学力を急に伸ばすことはよくあり、文と武は互いに高め合う関係にあると実感しています。強豪の運動部の生徒は、時間がない中で勉強するため、生活のメリハリがついている子が多く、クラスの他の生徒にも良い刺激を与えてくれます」と、越間教頭は文武両道の効果を語る。
進路指導の方針は、第1志望主義、現役合格主義、学校完結主義。第1志望以外の総合選抜型入試・推薦入試は原則認めず、初志貫徹で第1志望校の現役合格を目指す。「TUK(東大合格会)」による特別講習や、卒業生チューターによる指導など、一人一人の学力を着実に伸ばす学習指導体制も整っている。明るく元気な生徒が集う、健やかな共学校だ。