日本で指導的立場の女性を増やすには、こうした世界がおののく日本の男性優位社会を崩す必要があります。しかし、そう簡単には崩れません。理由は、以下に述べるような、世界では見られない日本人社会独特の文化・価値観があるからです。

離婚しないから自立しない
~役割夫婦が女性の社会進出を妨げる

 社会全体で責任ある地位につく女性が増えるには、女性就業者の底辺を拡大する必要があります。フルタイムで男性と同等の労働条件で継続的に働く女性の絶対数です。そのためには、結婚、出産、子育て期に長期的に仕事を中断する女性を減らす必要があります。

 それを妨げる要因としてよくあげられるのが役割分担意識です。以前より減ってはいるというものの、日本では、国民の約半数が「男は仕事、女は家庭」の考えに賛同しています(女性47%、男性57%。内閣府の平成21年度調査による)。欧米諸国でも、以前はこの役割分担意識は一定の支持を得ていました。しかし今では、国により差はあるものの5~20%と激減しています。それには3つの理由があります。

 1つ目は1970年あたりから活発化した女性解放運動による女性の自立意識の高まりです。背景には、女性の高学歴化に伴う就業と昇進意欲の高まりがあります。同時に、家庭と仕事を両立させるための男性の理解と、社会環境が整ってきたことがあります。一方、日本では、女性の高学歴化は進んでいますが、必ずしも彼女たちの上昇意欲が結果に現れていません(短大・大学・大学院卒の女性比率46%に対し、企業の女性係長比率は12%)。

 2つ目は、シングルインカム(夫1人の収入)では生活が苦しい、不安だ、または理想的な生活ができないという金銭的制約です。この点は、雇用や収入の不安定化が進行する日本でも今後同じようなインセンティブが働くでしょう。

 3つ目は、ここが最も大きく日本と異なる部分ですが、夫婦関係の淡白化です。「愛想を尽かす→セックスレス→離婚」の構図です。離婚への備えが経済的自立を促しています。

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社員の自己犠牲で成り立つ企業経営

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