職場の女性たちは、中田堅司課長にひそかにあだ名をつけている。その名とは「モグラン」。「モグラー」「モグリン」「モグくん」「モグー」など、語尾変化をともなうことも。もちろん、本人は一切知らない。

 由来はもちろん、モグラ。一説によると「めったに顧客訪問をせず、会社にひきこもっているから」ということだが、異説もある。「部下の状況がまったく見えていないから!」というのだ。彼女たちの言い分を聞いてみよう。

 「『今、忙しい?そうでもなさそうだね』なんて言いながら、仕事を振ってくる。手元を見れば忙しいってわかるのに」

 「急いで帰ろうとしているときに、くだらない雑談で人をひきとめる」

 「顔も見たくない!と思っているときに限ってなれなれしく近寄ってくる」

 中田課長の前では、いちおう業務用スマイルを浮かべている彼女たち。それだけにこんな本音など、彼としてはまったく知りようがない――。

「ワタシの気持ちを察して!」

 女性の笑顔にダマされてはいけない。口元が微笑んでいたとしても、内心不満を募らせていることもあれば、不安を抱いていることもある。

 女性同士なら口元のゆがみや目の表情などで、それがただの笑顔ではなく、「苦笑」や「嘲笑」「泣き笑い」(あるいは単なる作り笑い)であることを見抜けるのだが、悲しいかな男性はそうした能力が低いようだ。

 もともと男性は表情を読むのが苦手なことは、第22回【「妻や部下の表情が読めないと危険!「暴発する女」に「ビビる男」】でも紹介した通り。

 「マ、マズイ。激怒しているぞ」「ふふん、どうやらビビっているな」くらいのことはわかるのだが、微妙な感情のひだなどはまったく読めない。これは、女性にとってじつにいらだたしいことなのだ。

 女性たちが求めているのは、わざわざ言葉にせずとも察してくれるオトコ。それができず、相手の気持ちなどおかまいなしにふるまう上司や同僚、パートナーなど「サイテー」なのである。

ボディランゲージで知る
女性の「本音」

 では、女性の本音を見抜き、その心をつかむ方法はあるのだろうか? 安心してほしい。じつはちゃんとあるのだ。

 そもそも女性は非言語コミュニケーションに長けている生き物である。太古の昔から、ほかの同性との連携プレイによって村や子どもたちを守ってきた。相手の微妙な心理状態を読むくらいはお手の物だ。

 同時に、自分の気持ちを他人に伝えるのもうまい。言葉だけではなく、表情で、視線で、身ぶり手ぶりで、喜怒哀楽を自在に表現できる。