VivaTech去る6月13~18日、フランスのパリ見本市会場で開催されたVivaTech 写真:永田公彦

日本に似て起業文化が希薄だったフランスですが、ここ数年、オールドエコノミーからの脱却が加速しています。スタートアップ企業が急増し、ユニコーンを25社にするとの政府目標も、今年初めに4年前倒しで達成。また2030年までにユニコーン100社との目標が掲げられ、スタートアップ立国に向けた新たなフェーズに入っています。日本でも2018年に安倍内閣により「Society 5.0」「データ駆動型社会」への変革を進め、岸田内閣は、2022年度をスタートアップ創出元年と位置付ける中、これまで掲げられた目標が達成されるのか注目されます。こうした背景のもと、本稿ではフランスのスタートアップ元年ともいえる2013年からポイントとなる今日までの動きと今後の政策を解説します。(Nagata Global Partners代表パートナー、フランス国立東洋言語文化学院非常勤講師 永田公彦)

欧州最大級のテクノロジーイベント
VivaTechが完全復活

 VivaTechが去る6月13~18日、パリ見本市会場で開催されました。同イベントは、2016年6月の第1回から今年で6回目になります。コロナの影響で2020年は中止、2021年はハイブリッド開催で規模縮小を余儀なくされました。しかし、今回は規模も活気も2019年の状態に完全復活しました。

 主催者発表によると、日本からの十数社を含め、世界各地から約2000の企業・団体が出展し(うち1700がスタートアップ企業、残り300が大企業、メディアや行政など)、9万1000人以上の来場者を迎えました。また、30万人のデジタルオーディエンス、430万人以上のニュースチャンネルへのアクセス、ソーシャルネットワーク上で30億回のペイビューがあったといいます。

 筆者も仕事の関係で3年ぶりに会場に足を運びましたが、特にサステナブル社会づくり系のテック企業、Web3(ウェブ3) やメタバース分野の企業、アフリカ発のテック企業が目立つ印象を持ちました。

 また17日には、昨年同様マクロン大統領も会場に足を運び、スタートアップ企業との対談の中で、フランスのスタートアップの現状と政府による今後の野心的な目標と施策について言及しています。