フランス人も注目の「ニッポン後退論」、日本が目指すべき独自の進化とはPhoto:PIXTA

世に氾濫する「ニッポン後退論」は軽く聞き流し、「諸外国に抜かれまい、抜かれたら抜き返す、そのためには変わらなければ」との力んだ発想は捨てるべきです。むしろ日本人は自分たちを再認識し、無理せず自然体で独自の進化を遂げればいいのです。そうすることで、人々の生活と地球環境を豊かにする、持続的で高付加価値かつ高貴な社会モデルができ、世界もこれに注目するでしょう。(Nagata Global Partners代表パートナー、フランス国立東洋言語文化学院非常勤講師 永田公彦)

百害あって一利なしの
「ニッポン後退論」

 ここ数年フランスをはじめ海外でも日本の後退が注目されています。例えば、「20歳になった日本の若者、ここまで少ない成人式はない。破滅的な人口動態の罪」…これは去る11日(成人式の翌日)、フランスの公共ラジオ放送「フランス・アンテール」が、朝の解説番組で伝えたものです。新成人数が、統計が開始された1968年以降で最少となり、総人口の1%に満たない等、日本の少子高齢化と人口減少を伝えていました。

 一方、日本国内でも、失われた30年、日本の衰退、日本は既に後進国、ニッポン沈没…こうした「ニッポン後退論」が、年々勢いを増しながらまん延しています。その多くは、次の3つについて指摘しています。